2013 Fiscal Year Annual Research Report
非可食バイオマスから脂肪族・芳香族カルボン酸類の新規環境軽負荷合成技術の創出
Project/Area Number |
23710094
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐々木 満 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40363519)
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Keywords | 非可食バイオマス / 水熱技術 / マイクロ波 / 水熱電解 / 5-HMF / 加水分解 / 部分酸化 / 有用化成品素材 |
Research Abstract |
本研究では再生可能な資源であるバイオマスを原料とした化成品や樹脂原料製造技術の創出を目指し、そのうち前処理を含む反応工程に注力して検討した。海洋系バイオマス(規格外ワカメ)を出発物質としたマイクロ波水熱処理により、水熱加水分解処理に比して、より低温条件で、速やかに所望の機能性を有する低分子量フコイダンやフコイダンオリゴマーへと転換し得ることを見出した。次に、グルコースやフルクトースといった単糖を出発物質とした水熱電解処理や水熱反応処理を、内容積500mLの水熱電解用オートクレーブを用いて種々の操作条件下で実施した。温度140~180℃、圧力約4MPa、弱酸水溶液中で水熱電解処理することにより、5-ヒドロキシメチル-2-フルフラール(5-HMF)を比較的高収率で得られることが確認できた。また、5-HMF水溶液の弱アルカリ水溶液の水熱処理において、低温ではほとんど反応せず、高温では加水分解によりレブリン酸やギ酸を生成することが確認できた。つまり、当初目的とした5-HMFの部分酸化物である2,5-フランジカルボン酸 (FDCA)は、本条件域ではほとんど生成せず、加水分解によるアルデヒド体の生成、およびそれらの部分酸化によるレブリン酸およびギ酸の生成が主反応であることを明らかとした。硫酸化グラフェンといった固体酸触媒を用いてFDCAを生成し得る事象は予備検討レベルでは確認することができたものの、公表するレベルまでの実験・分析データを取得するまでに至らなかった。 以上の結果は、水熱環境下において糖類の化学構造と反応場環境を合理的に調整することで、非可食バイオマスから有用化成品素材を連続的に生産し得るプロセスの開発が可能であることを示唆している。本事業後、本知見をさらに展開し、非可食バイオマスの資源・エネルギーとして有効に利用し得る新規プロセスの構築を目指したい。
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