2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市資源である溶融灰に含まれる金属塩の形態解明と硫化物の高効率除去に関する研究
Project/Area Number |
23710099
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
野中 利瀬弘 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20400525)
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Keywords | 塩化揮発 / カーボクロリネーション反応 / 化学形態分析 |
Research Abstract |
本研究は,都市資源である溶融飛灰から亜鉛や鉛などの金属を高い選択性を持って分離し,同時に残渣の安全化を達成できる塩化揮発による分離プロセスの開発を目的とする.平成24年度は,Ca化合物共存下における硫黄の放出挙動に着目し,鉛の硫化反応および塩化揮発反応のメカニズム解明を試みた.併せて,金属Feを系内に添加し,灰中の鉄が鉛の硫化反応および塩化揮発反応に及ぼす影響を追跡した.また,硫化反応抑制に著しい効果が確認されたCaCO3を用いて,二段プロセスによる鉛及び亜鉛の分離を試みた.具体的な成果は以下の通りである. i) Ca化合物を添加して加熱することで,灰中の硫黄放出率は灰種によって大きく変化し,最大で66.1%に達することがわかった.残留硫黄の多くは固相中でCaS, FeS, ZnSなどの金属硫化物のほか,2PbO・PbSO4のような塩基性硫酸鉛,反応に伴い生成するNa2SO4, K2SO4, CaSO4のような硫酸塩を新たに形成し,残留硫黄の安定化と塩化反応促進を同時に達成していることが明らかとなった. ii) 灰中鉄濃度を増大させて加熱することにより,PbS生成反応が昇温過程で増進されることが確認された.熱力学計算の結果と併せて,加熱時に形成されるFeSがPbOの硫化反応を促進する要因となることがわかった. iii) Ca化合物による鉛の硫化反応抑制効果に着目し,二段階プロセスによる鉛と亜鉛の選択的分離を試みたところ,CaCO3共存下での加熱により,含有鉛をPbCl2およびM-Pbの形態で100%気相中へ分離できた.さらに亜鉛濃縮残渣(57%)へ固体炭素を添加して加熱する二段階目の反応により,含有する亜鉛はM-Znとして完全に揮発分離し,非常に高い分離率を達成できた.
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