2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオポリマーの合成増強を目指したモノマー供給酵素の進化工学
Project/Area Number |
23710102
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 剛志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (40599601)
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Keywords | アセトアセチル-CoAレダクターゼ |
Research Abstract |
アセトアセチル-CoAレダクターゼ(PhaB)は、アセトアセチル-CoA(AcAc-CoA)とNADPHの2基質から3-ヒドロキシブチリル-CoAを生成するモノマー供給酵素である。我々は、代表的なポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生産菌であるRalstonia eutropha由来のPhaBに対して進化工学的手法を用いることで、2種類のPhaB高活性変異体(Q47L、T173S)を取得することに成功した。これまでに得られた高活性変異体のQ47、T173に対し、アミノ酸置換を施し酵素活性に与える影響を調べた。Q47の網羅的アミノ酸置換では、すでに取得したQ47Lが最も高い活性値を示した。また、T173の場合でも、取得したT173Sと、もう一つT173Aが高活性値を示した。取得変異体は、最適化されていたことが分かった。 取得変異体の高活性化を理解するために動力学的性質を調べた。いずれもkcat値の向上がみられ、高活性化に寄与していた。一方、kcat/Km値からは、Q47LはNADPHに対する、T173SはAcAc-CoAに対する親和性が向上し、傾向が異なっていことが示された。我々の共同研究グループによるPhaBの構造解析に関する研究でも、これらの関係が裏付けられる結果が得られた。 バイオポリマーの生産性向上に関する酵素レベルの研究では、PHA重合酵素に関する報告が圧倒的に多く、モノマー供給に着目した研究は僅かである。今回我々はPhaB高活性変異体が、ポリマー生産性の向上に寄与することを示すことができた。PHA研究は応用性が求められレベルまで発展しており、生産プラットフォームとして微生物から植物へのシフトが望まれているが、まだまだ生産性が低いことが課題である。今回得られた情報を元に更なる高活性化PhaBの取得が可能となれば、これらの領域において更なる発展に寄与するものと思われる。
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