2013 Fiscal Year Research-status Report
ポリアミノ酸マクロモノマーの環境負荷低減材料への応用
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23710105
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
淀谷 真也 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70369990)
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Keywords | ポリ-L-アミノ酸 / NCA / マクロモノマー |
Research Abstract |
ポリアミノ酸マクロモノマーを合成するために,以下の(i)~(iii)について研究を行った. (i)NCA法に用いるための開始剤の準備:ビニル基を有する第一級アミン化合物である2-Vinylpropylamine(1)の合成を行った.今回の研究により,回収時の水層のpHを中性に保つことで,エーテル抽出の効率が良くなることが分かり,収率を20%ほどに改善することが出来た.合成した(1)に加え、同じビニル化合物であり,スチレンと類似した構造を有する4-Vinylbenzylamine(2)とDiels-Alder反応が期待できるFurfurylamine(3)を購入し,マクロモノマーの合成に用いた. (ii)マクロモノマーの合成:マクロモノマーの合成はモノマーとしてα-アミノ酸-N-カルボン酸無水物(NCA)を用い,二酸化炭素の脱離重合によって行った.溶媒に1,4-dioxaneを用いて,モノマー濃度を3%(w/w),モノマーと開始剤の比を20:1とし,室温で種々の時間反応させた.得られたマクロモノマーは貧溶媒にメタノールを用いて再沈殿により精製し,粘度法により粘度平均分子量を求め,構造解析はNMR用いて行った。 (iii)マクロモノマーの重合法の検討:開始剤(1),(2)を用いて合成したマクロモノマーについて溶媒にベンゼン,開始剤にAIBNを用いてラジカル重合を行った.しかしながら,粘度平均分子量を測定した結果,マクロモノマーとその重合後の分子量には大きな変化はみられなかった.開始剤(3)を用いて合成したマクロモノマーについては,溶媒にジクロロメタン,触媒に塩化アルミニウムを用いたDiels-Alder重合を行った.その結果,マクロモノマーの粘度平均分子量が4000程度であったものが,約20000まで増加したことが確認された.これにより,約5量体を形成したことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H25年度はマクロモノマーの重合法の検討を行った。末端基の性質やマクロモノマーの分子量を考慮して、開始剤と放射線を用いたラジカル重合の重合条件の検討をおこなったが、イオン重合の検討や共重合の検討までは行うことができなかった。また、ラジカル重合によるマクロモノマーの重合結果も、予想通り進行しなかった。原因としてはマクロモノマーの分子量が大きかったこと、分子量分布が広かったことなどが考えられる。これらの問題を解決するためには、マクロモノマーの分子量の制御が必要であり、その条件検討に時間を要し、研究の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
γ-BLG-NCAを重合する際に、分子内水素結合を切断するような試薬(尿素等)を添加することによって、分子量や分子量分布を制御できることがわかった。よって、この方法を用いてマクロモノマーの分子量を制御し、末端基の重合性との関係を評価する。そして、マクロモノマーの単独重合やビニル系モノマーとの共重合を行うための反応条件の検討を行う。得られたマクロモノマーの構造解析はMADLI-TOF-MS(JEOL, JMS-S3000)とNMR(JEOL, JNM-ECS 400)を用いて行う。また、JMS-S3000は今年度より設置された装置であるため、本研究によって合成したマクロモノマーの測定条件(マトリックス、イオン化剤の組み合わせ)の検討も重要な課題となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の学会、研究打ち合わせの旅費として、少し余裕をみて予算を残した結果、次年度に繰り越すことになりました。 試薬等の消耗品を購入するために使用する予定です。
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