2011 Fiscal Year Research-status Report
機能性多層コアシェル触媒Aushell/Ptshell/Mの安定性に関する研究
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23710112
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 裕久 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教 (90469073)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 空気極 / EQCM / 白金 / 溶解 / コアシェル / モノレイヤー |
Research Abstract |
水晶振動子上に白金が蒸着されたPt/QC電極上にAuをサブモノレイヤーで修飾し、燃料電池の実作動電位領域でのPtの安定性について、電気化学的に加速劣化試験を行い、その耐久性について評価した。このとき、電気化学測定と並行してQCM測定を行い、白金質量の変化について同時にモニターすることでAu/Pt/QC電極の安定性について解析した。Ausub-ML/Pt/QCはUPD法を用いて作製した。電気化学的に活性化処理したPt/QC電極を0.05 M H2SO4 + 2 mM CuSO4の電解液中で電極を0.328 V vs.RHEで10分間定電位保持して、Pt表面上にCuをUPD析出させた。次いで、開回路状態で同溶液中にAuCl3水溶液を0.1 mMとなるように添加し、Au上のCuUPDとAu3+を置換させてAusub-ML/Pt/QC電極を作製した。その結果、UPD-CuとAuが置換し、Pt特有のCVピーク(水素吸脱着波、PtOxの形成と還元)は減少したため、Pt上にAuが被覆したことがわかった。調製したAusub-ML/Pt/QC とPt/QCについて、0.6 から 1.0-1.2 Vの電位範囲で矩形波による電気化学的加速劣化試験を行った。Pt/QC電極で劣化試験を行った場合、Ptの溶解は1.1 V以上で観察され、電位の上昇とともにその溶解量は増加した。一方、安定性の高いAuをPt上に被覆した場合、Ptのみの場合と同様に1.1 V以上の電位で質量減少が確認された。このとき、Ptの表面積は増加する傾向が観られた。したがって、QCMで観測された質量減少は、Ptの溶解のみならずAuが溶解した可能性がある。Auはこの電位範囲では安定な金属であるが、下地のPtが溶解する際に共に溶解される可能性があることがわかった。XPS測定法を用いた、PtとAuの電子状態については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画として、i) Ausub-ML/Pt/QCの作製、ii) 電気化学的加速劣化試験、iii) 表面組成の解析の3つについて計画した。この3つの項目についての測定は完了したが、iii)の表面組成の解析について、XPS測定結果より、比較となる試料を作成し、より詳細にPtとAuの電子状態について解析する必要があると考えた。この測定が終わり次第当初予定であるi)-iii)の研究結果を総括したPtの溶解ならびに金のPt溶解抑制機構について明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初計画通り、市販のPt/C触媒のPtナノ粒子上にAuを電気化学的に被覆率を変化させて修飾し、Ausub-ML/Pt/C触媒を調製する。Au被覆率と酸素還元活性の関係について回転電極を用いて評価する。回転電極法は電極を回転させて,物質移動速度を制御することにより、反応電流から物質移動の影響を取り除き,純粋な電荷移動反応速度を求めることができる電気化学手法である。作製したAusub-ML/Pt/C触媒粒子の耐久性について、0.6 Vから1.0-1.2 Vの電位範囲で矩形波による電気化学的加速劣化試験を行う。 得られた酸素還元挙動と、平成23年度のEQCM測定で得られた知見を基に、Au被覆率の最適化を行い、Pt本来の酸素還元活性を保有しつつ、耐Pt溶解性を有する触媒表面の設計を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究成果より得られた知見を基に、Au被覆率の最適化を行い、Pt本来の酸素還元活性を保有しつつ、耐Pt溶解性を有する触媒表面の設計を行う。研究費の使用用途としては主に研究に用いる物品費や得られた成果を報告するための旅費として使用する。
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