2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ超格子水素貯蔵デバイスの機能発現メカニズムの解明と耐久性向上
Project/Area Number |
23710120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関場 大一郎 筑波大学, 数理物質系, 講師 (20396807)
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Keywords | 高分解能RBS / 水素貯蔵 / ナノ超格子 |
Research Abstract |
水素を新エネルギー源として利用する際に、安全かつ高効率の水素貯蔵方法の開発が必須である。これまでに様々な合金が水素を吸収させるキャリアとして開発・検討されてきたが、高い貯蔵量と低い水素放出温度を両立するものはまだ見つかっていない。そこで近年異なった特徴を持つ2つの金属をナノレベルで超格子化し、それら両方の特徴を併せ持つ材料の開発が行われている。本研究ではイオンビーム分析の一種であるラザフォード後方散乱分析(RBS)を高分解能化し、ナノ超格子の界面で起きる原子移動を精密に解析することで、材料の劣化原因の解明を試みることとした。研究期間中に高分解能RBS装置の開発、基礎データの取得までを行った。試料としてスパッタ成膜したナノスケールの厚さを持つMgとPd膜を想定し、入射イオンビームはHeを採用した。入射エネルギーは500 keVとし、金属原子により前方60°に散乱されたHeイオン(1価)を90°マグネットで分析し、マイクロチャンネルプレート(MCP)方式の位置敏感検出器で散乱イオンのエネルギーを決定する。分析マグネットの軌道半径は200 mmとして設計し、マグネットの入り口には取り込み角が有限であることに起因する運動エネルギーの分散を補償するための4重極静電レンズを設計、挿入し、そのための2チャンネル高電圧源を作製した。MCPの2つのアウトプットからの信号を独立に増幅し、コインシデンスをとりながら2chのアナログ‐デジタル変換機(ADC)に入力し、信号強度の比から検出器上の位置を決定するプログラムを作成した。開発した高分解能RBSシステムのテストとしてSiウエハからの散乱を観察し、試料表面に対応する信号の立ち上がりを確認した。今後はナノ超格子への応用を行っていく。
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