2011 Fiscal Year Research-status Report
高密度X線ナノビーム形成と走査型蛍光X線顕微鏡への応用
Project/Area Number |
23710128
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松山 智至 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10423196)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | X線集光 / X線ミラー / X線顕微鏡 / 細胞内元素分布 |
Research Abstract |
金属タンパク質やイオンの分布を高分解能かつ高感度で可視化できれば,細胞機能についての総合的な理解が進むとして,細胞内の元素分布に関する研究が注目されている.X線ナノビームシステムと蛍光X線分析を融合した走査型蛍光X線顕微鏡は,高感度・高分解能であるためその開発・高度化が期待されている.高密度なX線ナノビーム形成が可能な集光光学系を開発し,本顕微鏡システムの高感度化・ハイスループット化を進めることが本研究の目的である.本年度は,高精度な集光光学系(SSKBミラー光学系)を構築するために,イオンビームフィギャリング(IBF)法によるX線ミラー作製方法の確立を中心に進めた.イオンビーム法によって,シリコンインゴットから高精度な楕円ミラーを作製するために,IBFシステムにコンピュータコントロールシステム(形状創生のため)とフィードバックシステム(収束イオンビームの長期安定化のため)を導入を行った.コンピュータコントロールシステムは,PC,ステッピングモータによって構成され,コンピュータにインプットした速度データ通りにステッピングモータが回転させることができる.滞在時間制御しながらシリコン基板を走査することで,任意形状を作製することができるようにした.フィードバックシステムは,イオンビームの電流値をイオンソースパラメータの変化によってフィードバックするシステムである.実験の結果,5時間にわたって,約1%の安定性を維持できることを確認した.また,本システムによってシリコン基板上に楕円ミラーを作製したところ,約1%(RMS)の加工精度で楕円ミラーを作製することに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特殊なX線ミラー(エッジ部に楕円形状を持つミラー)の作製を行う点が,本研究の重要なところである.これを解決するためにIBFシステムの開発・高度化が必要であるが,23年度の研究・開発によって概ね必要な装置精度を持つシステムの開発が完了した.
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は,実際に集光光学系を開発し,SPring-8でその性能を評価する.集光ミラーを作製し,多層膜を成膜することでX線ミラーを完成させる.これをアライメントするシステムを開発し,実際にSPring-8で集光特性を評価する.なお,23年度の研究費に余りが生じたが,研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったためである.研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は,主に高精度ミラーをアライメントするシステムの開発を中心に行うため,その開発費を計上している.また,引き続きIBFシステムの高度化を進めるため,本システムの開発費・消耗品費を計上している
|