2012 Fiscal Year Research-status Report
セリアナノシートおよびセリア層状体の構築による超活性触媒の開発
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23710131
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷口 貴章 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (50583415)
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Keywords | セリア / ナノシート |
Research Abstract |
平成24年度ではまずセリアナノシート層状体の剥離を行い単層ナノシート触媒の合成を試みた。剥離溶媒としてはホルムアミドが有用であることを明らかにした。ホルムアミドを用いた場合、層状体でのセリア層一層からなるナノシートが得られた。また、剥離プロセスにより、シート構造は面内でも破断がおき、数十ナノメートル程度の大きさのナノシートドッドも生成することがわかった。これはナノシート層が単結晶ではなく、ナノ結晶がランダムに結晶配向し二次元的につながることにより多結晶ナノシートを形成しているためであると考えられる。つまり、剥離と同時に結合の弱いナノ結晶粒界が破断するためナノサイズのシートが形成したと推測する。 つぎに、新規セリアナノシート層状体を合成した。合成プロセスはセリウム塩とドデシル硫酸ナトリウムを混合するというシンプルなものであるが、これによりドデシル硫酸層の層間にセリウム層が存在する層状体を得ることができた。特筆すべきことに、この新規層状体は量子収率90%という非常に高い紫外発光を示した。また、有機溶媒に可溶であり、溶液を乾燥させるだけで元の層状体とどうようの構造を持った薄膜を形成することも可能であった。 セリア層状体の触媒特性を測定したところ、ナノ結晶と同程度の触媒活性を示すことが明らかとなった。一方、層状体として触媒機能を発現させるためには、熱的安定性、触媒活性層の導入が必用であるという知見も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はセリアナノシートを用いた超活性触媒の創製を目的にしている。その中でセリアナノシート層状体の合成と触媒活性の制御という2つが主な課題であった。24 年度は、ホスト層の触媒活性を制御するため、“ホスト層への異種金属イオンの置換ドーピング”行った。さらにセリアシングルナノシートとドデシル硫酸またはドデシルリン酸からなる層状セリア触媒を合成し、触媒活性および触媒耐久性についての評価を行った。生成物については、組成分析、結晶構造解析、電子状態解析、CO 酸化により系統的な評価を行った。また、ESD 法で用いるDS (C12H25SO4-)と同様に硫酸を官状能基を持ちアルキル鎖長の異なるヘキシル硫酸(C6H13SO4-) オクチル硫酸(C8H17SO4-) デシル硫酸(C10H2 1SO4-)等を用いた。続いてオレイン(C18H33O2-)、ステアリン酸(C18H35O2-)等のカルボン酸官能基をもつ有機アニオンからなる層状体を合成した。これらについて触媒活性、および触媒耐久性を評価した。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノシート層状体の合成プロセスを確立し、種々層間有機物を含んだセリアナノシート層状体を合成した。触媒機能としては、熱的不安定が問題となり、ナノシート自体の触媒特性は発現できていないのが現状である。そこでナノシートの高結晶化と有機層の最適化がさらに求められる。一方、我々はセリアナノシート層状体が蛍光体として優れた特性を有することを明らかにした。このことはナノシート界面がバルク体は全く違った機能性を発現できる2次元ナノスペースとして活用できることを示している。今後は界面電子状態の理論的考察を行いナノシート自体の触媒活性の知見をえること及び、発光メカニズムの解明と特性制御をおこなう。また、ナノシート及び層状構造とい2つの特徴を生かした材料作製指針をさらに展開し、高機能磁性体、触媒、発光体等を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23,24年度に購入予定であった物品(装置類、薬品類)は研究協力 者として参画し ている他の研究プロジェクトでも必要となった。そのため本課題の研究費で 購入予定物 品の一部を他プロジェクトで購入することができたために未使用額が生じた。未使用金は解析用ソフトウェア及び、圧力発生装置を購入費にある。これにより、データ解析及び、加圧下でのナノシート層状体の構造・電子状態解析を行う。また、研究成果を25年度に行なわれる国際学会で発表したい。未使用額について はその経費にもあてることとしたい。
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