2011 Fiscal Year Research-status Report
四面体最密充填構造を持つシリカ/水/界面活性剤系メソ構造体の秩序形成
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23710132
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
阪本 康弘 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (10548580)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 四面体最密充填構造 / アルキメデスタイリング / 自己組織化 / 規則性多孔質材料 / 電子顕微鏡法 / ナノ材料 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
本研究課題では,シリカ/水/界面活性剤系メソ構造体の形成する四面体細密充填(TCP: Tetrahedrally Close-Packed)構造の構造変化と秩序形成メカニズムを明らかにする.今年度は,(1)Pm-3n構造(A15型構造)とその類似構造における構造変化の解明,(2)十二回対称準結晶構造をもつメソ構造体の探索を行った.構造規定剤としてアニオン性界面活性剤をもちいたメソ構造体(ケージ型シリカメソ多孔体)において,Pm-3n構造(A15型構造),Cmmm構造,P42/mnm構造(σ構造),P6/mmm構造の存在を透過電子顕微鏡法により明らかにした.これら一連のメソ構造は各構造に依存した特定の方位に沿った投影構造(透過電子顕微鏡像)が,正方形と正三角形の二次元タイリングとして表される.これらはそれぞれ{4,4,4,4}(Pm-3n構造),{3,3,3,4,4}(Cmmm構造), {3,3,4,3,4}(P42/mnm構造),{3,4,6,4}(P6/mmm構造)で表されるアルキメデスリングに一致する.また,正方形と正三角形がランダム配列し,その電子回折パターンが十二回対称を示す構造をもつメソ構造体が観察された.この構造が示す二次元タイリングは,正方形と正三角形の数の比(T/S)が,σ構造(T/S=2)とP6/mmm構造(T/S=2.67)の間に存在し,理想的な十二回対称準結晶が示す値(T/S=2.31)近いことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,シリカ/水/界面活性剤系メソ構造体の形成する四面体細密充填(TCP: Tetrahedrally Close-Packed)構造を対象とし,(1)A15型構造とその類似構造における構造変化のキネティクスの解明,(2)十二回対称準周期構造をもつメソ構造体の探索,(3)それらメソ構造の秩序形成メカニズムの解明を目的として本研究課題を進めた.アニオン性界面活性剤をもちいたシリカ/水/界面活性剤系でPm-3n構造(A15型構造),Cmmm構造,P42/mnm構造(σ構造),P6/mmm構造,十二回対称準周期メソ構造の存在を透過電子顕微鏡法により明らかにした.また,それら各構造を正方形と正三角形の二次元タイリングとして表現し,Pm-3n構造(A15型構造)からP6/mmm構造にいたる構造変化を説明することができた.しかしその一方で,当初目的とした各種パラメータ(pH,温度,添加物,構造規定剤の種類等)の依存性を調べ詳細な相図を作成するにはいたらず,TCP構造間の構造変化のキネティクスや秩序形成のメカニズムを解明するには不十分であった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,前年度の実験結果をふまえ未解決となっているPm-3n構造(A15型構造)とその類似構造における構造変化のキネティクスを,存在が明らかになった十二回対称準周期構造も含め,解明する.特に,pH,温度(湿度),塩などの添加物を条件振りしTCPメソ構造の制御をめざす.また,小角X線散乱法をもちい各条件下で水溶液中の界面活性剤ミセルがどのような挙動をしめすか明らかにし,秩序形成のメカニズムを解明する.さらに,当初の計画に沿って他のTCPメソ構造(Fd-3m構造(C15構造),R-3m構造(μ構造),P6/mmm構造(z構造))についても同様な評価を行い,TCPメソ構造の構造変化のキネティクスと秩序形成のメカニズムを明らかにすることをめざす.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,TCPメソ構造の精密制御を行うにあたり合成条件を精度良くコントロールし,各パラメータがメソ構造に与える影響を調べる必要があるため,温度(湿度)の正確なコントロールが可能な恒温恒湿器を購入する予定である.それ以外の主な用途は消耗品であり,合成実験用のガラス器具やシリカ源などの化学薬品,透過電子顕微鏡観察用のグリッド,小角X線散乱測定用のキャピラリーが必要となる.また,研究成果を学会で発表するための経費,他大学の共同利用設備を利用するための経費として旅費,論文発表のための経費として英文校閲を申請する.
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