2012 Fiscal Year Research-status Report
生体ステルス性金磁性複合ナノ粒子のMRI造影剤への応用
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23710133
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
木下 卓也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90453141)
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Keywords | MRI造影剤 / 磁性ナノ粒子 / 噴霧熱分解法 / 金 / PEG / ハイパーサーミア |
Research Abstract |
種々の腫瘍に対して高感度検出が可能なMRI造影剤の核となる磁性複合ナノ粒子を開発することを目的とした。具体的には、生体内での分散性・ステルス性および腫瘍標的指向性生体分子の結合性を有する磁性複合ナノ粒子の合成を試みた。まず、共沈法により粒径10nm程度の磁性酸化鉄ナノ粒子(マグネタイト)を調製した。これを複合粒子の核とし、分散性・ステルス性を付与するために高分子ポリエチレングリコール(PEG)またはシリカを、生体分子の結合性を付与するために金をそれぞれ表面に付着させた。①PEG被覆された磁性複合ナノ粒子を合成するために、噴霧乾燥法を用いた。酸化鉄ナノ粒子分散液にPEGを溶解し噴霧乾燥することで、多数の酸化鉄粒子がPEG内部に分散・固定化された粒径100-200nmの複合ナノ粒子の合成に成功した。また、酸化鉄粒子分散液にTEOSを加え加水分解することで、シリカ被覆された磁性粒子の合成に成功した。②金が担持された磁性複合ナノ粒子を合成するために、噴霧熱分解法を用いた。酸化鉄ナノ粒子分散液に塩化金酸を溶解し噴霧熱分解することで、酸化鉄粒子凝集体に5-20nmの金が担持された粒径200-300nmの複合ナノ粒子を合成し、アミノ酸の粒子への吸着挙動を評価し、金の粒径により吸着挙動が変わることがわかった。 また、がん治療にも応用できるLa-Sr-Mn系酸化物微粒子の合成に成功した。この粒子は交流磁場中で発熱し、がんが熱に弱いことを利用した(がん温熱療法)ハイパーサーミアに適用できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子の合成について、噴霧法による合成の高度化を行った。また、応用性評価は進展しなかったが、ハイパーサーミアにも利用できる粒子の合成に新たに成功し、こちらは大きく進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りにMRI造影剤への応用性の評価を行う。また、ハイパーサーミア担体としての可能性も期待され、診断薬だけでなく癌治療薬としての進展も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
応用性評価が進展しなかったことで、若干の研究費の残額が生じたが、次年度の消耗物品費として使用する。次年度の研究費は、粒子合成および特性評価のための消耗物品費、および学会発表のための旅費として使用する。
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