2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸化分解反応を利用したグラフェン作製・加工技術の開発
Project/Area Number |
23710137
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石田 暢之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (10451444)
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Keywords | 酸化グラフェン / 酸化分解過程 / TOF-SIMS |
Research Abstract |
本研究の目的は、活性酸素を用いた酸化分解によるグラフェン作製手法を確立することで、グラフェンのデバイス応用、特にプロセス技術に大きく貢献することである。23年度の研究ではグラフェンを一層ずつエッチングすることに成功したが、作成したグラフェンは表面が酸化していることが分かった。エッチングがlayer-by-layerで進んでいくことから、活性酸素は表面から順次反応していくと予想していたが、酸化過程はそれほど単純ではないことが分かった。そこで24年度は酸化分解過程の評価を詳細に行った。 酸化過程の評価は表面敏感な計測手法である飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)を用いて行った。まず、グラフェンの酸化がどこから進むのか検証するために、活性酸素処理をしたグラフェン上で酸素の元素マッピングを行った。その結果、酸素は表面全体に一様に分布していることが分かった。グラフェンエッジにおいて顕著な酸素の増加は見られなかったため、グラフェンエッジから層間へのインターカレーションは生じていないと考えられる。その後、エッチング処理時間を変えて、酸素が深さ方向にどこまで進入しているか、Depth profile計測から検証した。処理時間が3分までは、深さ方向の酸素の分布は変化せず、表面一層のみが酸化されていると考えられるが、それ以上処理を行うと酸素が表面数層まで進入していることが分かった。つまり、ある時間まではエッチングはlayer-by-layerで進んで行くが、その後はバルクのエッチングが進んでいる可能性がある。 これらの結果から、エッチング時間をコントロールすることでグラフェンの総数を制御した加工技術を確立できる可能性が見えてきた。ただし、本手法では表面酸化が生じてしまうので、酸化層を取り除く技術を確立する必要がある。
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