2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁性ナノ粒子自己組織化膜における超強磁性に関する研究
Project/Area Number |
23710140
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Research Institution | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
Principal Investigator |
山本 和生 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (80466292)
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Keywords | ナノ磁性 / 電子線ホログラフィー / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ローレンツ顕微鏡法や電子線ホログラフィーを用いて,磁性ナノ粒子アレイ膜中に出現する超強磁性構造やその振る舞いを直接観察することにより,超強磁性現象の特徴を明らかにすることである. 本年度は,昨年度,動的ローレンツ顕微鏡法により観察された直径8 nmのコバルトナノ粒子アレイ膜中に出現する超強磁性現象について詳しく解析を行った.室温(295 K)では100~300 nmの領域で磁気ダイポールがある方向に揃い,集団的に磁化がランダムに回転していたが,温度を下げていくことによりその回転頻度が低下する現象が見出された.磁化反転する時間を統計的に解析した結果,磁化反転に伴う活性化エネルギーは0.083 [eV]であることがわかった.この値は,超強磁性の振る舞いを理論的に理解するのに大いに役立つと思われる.また,場所によっては,集団的に揃った磁化同士が渦を作っており,その渦の回転方向も高速で反転している様子も観察された. 次に,直径8 nmのコバルトナノ粒子アレイ膜を磁場中で121 Kまで冷却し(Field cool),その後,無磁場中で昇温していく途中の超強磁性磁区構造を電子線ホログラフィーで観察した.冷却直後は,印加した磁場に沿って十ミクロンオーダーの領域で磁化が一様に揃っていたが,171 Kで逆向きに磁化が揃った領域が現れ,磁化ベクトルが衝突している所で,transverse wallが観察された.さらに221 Kまで昇温すると少しずつwallが移動し,271 Kで観察領域全体の磁化が反転した. 以上のように,ナノ粒子アレイ膜中に形成された超強磁性は,100~300 nmの小さい領域である方向に揃っており回転しているが,互いに磁気的な相互作用があると思われ,ミクロンオーダーの広い領域では,十ミクロンオーダーの大きな磁区構造を形成していることがわかった.
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