2012 Fiscal Year Annual Research Report
リソグラフィを用いた分子フィルタ創製と分子動力学による細孔解析
Project/Area Number |
23710148
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 義和 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 助教 (40452271)
|
Keywords | リソグラフィ / 粗視化分子動力学 / マイクロ・ナノデバイス / 高分子構造・物性 / シミュレーション工学 / マイクロマシン / 先端機能デバイス / フィルタ |
Research Abstract |
本研究はトップダウンプロセスである紫外線リソグラフィ技術とMEMS構造材料であるフォトレジスト(感光性樹脂,以下ネガレジスト)に関する科学的知識の融合によって,細孔径数nm~数十nmオーダーの分子透過機能を発現する分子フィルタ創製技術の確立を目標とした.最終年度はその目標に対して,前年度に構築した厚膜レジストの粗視化分子動力学モデルを用いてネガレジストの分子透過機能に関する検討を行い,ネガレジストの分子透過係数がレジスト架橋構造に依存することを実証した. 具体的には粗視化分子動力学モデルにおいて,透過分子とみなす透過ビーズが,架橋度の異なるレジスト架橋構造モデル内を透過する現象を解析した.分子動力学によってNVTアンサンブルのもと分子透過計算を行い,レジスト架橋構造モデルを透過した透過ビーズ数と時間の関係からラグタイム法を適用して一次元相互拡散係数を解析した.その結果,架橋度の増加に依存して分子透過機能は減少する関係にあった.この相関関係はRhodamine-6Gを利用した分子透過実験からも同様に確認できた.これらの結果から①ネガレジストの粗視化分子動力学を用いた分子透過シミュレーションの妥当性,②分子透過膜の分子透過機能は架橋度によって制御できることが示された.また目標が順調に達成できたので,分子透過膜を有するネガレジスト製細胞アッセイデバイスの構築を目指して,ネガレジストの生体適合性に関する調査も実施した.以上の結果と前年度の実績から,分子透過膜の加工技術とそれに関わる解析技術を構築する目標が達成ができた. 今後,粗視化分子動力学シミュレーションによってネガレジストの種々の物性値を精度良く予測することが可能となれば,新規のMEMS高分子材料開発をより論理的かつ効率的に進められるようになり,産業へのインパクトも大きいものとなる.
|