2011 Fiscal Year Research-status Report
原子間力顕微鏡リソグラフィー法によるグラフェンのバンドギャップ制御に関する研究
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23710155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増渕 覚 東京大学, ナノ量子エレクトロニクス研究機構, 特任助教 (50596195)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | グラフェン / 原子間力顕微鏡 / 酸化グラフェン / バンドギャップ制御 |
Research Abstract |
(i)AFM陽極酸化法による酸化グラフェンの生成シリコン基板上に形成されたグラフェンに、AFMカンチレバーを接触させ、カンチレバーに負の電圧を印加し、陽極酸化リソグラフィーを行った。カンチレバーへVtip=12 Vの電圧を印加すると、グラフェン表面に吸着している水分子が電界により電離し、陽極酸化反応によりグラフェンが酸化された。カンチレバーを空間掃引することにより任意の酸化グラフェンナノ構造を作製した。酸化グラフェンが形成された領域は、AFM摩擦像により画像化した。さらに、電気伝導測定用の金属電極を有するグラフェン素子中央部を、本手法を用いて局所的に酸化し、グラフェン/酸化グラフェン/グラフェン接合素子を作製しその電子輸送特性を測定したところ、非線形な電流―電圧曲線とともにDVSD=3 V程度の電流抑制領域が確認され、金属/半導体/金属接合が実現していることを確認した。さらに、カンチレバーへの印加電圧を変化させたところ、電流抑制領域の幅がカンチレバーへの印加電圧とともに系統的に変化した。この結果は、カンチレバーへの印加電圧の変化によって、酸化領域の酸化度(酸素/炭素構成比)が変化し、酸化領域のバンドギャップが変化したためであると考えられる。標記の研究によって、酸化グラフェンの局所生成技術と酸化度のカンチレバー印加電圧による制御という当初の目的を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である酸化グラフェンの局所生成によるグラフェンのバンドギャップ形成技術を、1年目に達成することができ、さらに本研究成果を論文発表することができた【S. Masubuchi et al., Nano Lett. (2011)】。これらの研究は、当初の目標では二年目に達成する予定であったものを、初年度に達成することができた物である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、酸化グラフェン生成と、グラフェン細線素子作製によるバンドギャップの形成法の確立に取り組む。特に、グラフェン細線素子作製法により注力し、室温おけるスイッチング動作素子の実現を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果発表のための旅費・AFMカンチレバーの購入費に利用する
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Research Products
(4 results)