2012 Fiscal Year Research-status Report
金ナノディスクペアの局所表面プラズモン共鳴を利用した光計測型応力センサの研究
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23710156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅 哲朗 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30504815)
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Keywords | MEMS / プラズモン共鳴 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は、センサの感度応力方向の多軸化に取り組んだ。前年度までに確立したセンサ試作プロセスを用い、前年度構築したシングルペア散乱光計測用の暗視野顕微鏡セットアップを用いてスペクトル計測を行った。 多軸化の方法として着目したのは、入射線偏光の方向とナノ粒子ペアの配列方向の関係により、散乱スペクトルのピーク位置が変化する現象である。、DDSCATシミュレーションソフトウェアを利用した散乱計算の結果から、入射線偏光がペアの配列方向と平行な場合には、散乱光のピーク波長が最も長波長側に位置することが示唆された。さらに、入射偏光とペアの配列方向がなす角度を大きくしてゆくにつれ、ピーク波長が短波長側にシフトし、最終的に角度が90°のときに短波長の極小値を示すことが同様に示唆された。 実験的にこのことを確かめたところ、入射偏光とペア配列の方向を変えるにしたがい、0°のときには約620nmにピーク波長をもつ赤色散乱光を示していたペアが、角度の増大により青色側に色を変え、90°のときに約550nmに波長ピークを持つ緑色の散乱光を示すことがわかった。 以上により、本提案のセンサを利用して、計測時の入射線偏光の方向をコントロールしつつ、散乱スペクトル計測を行うことで、数百nmの非常に局所的な領域に作用する応力を、応力の方向を含めて取得可能となることがわかった。従来、歪ゲージなどの応力センサは、小さくとも数100μmのセンササイズを持ち、なおかつ電気配線などを必要とした。このため、ナノメートルサイズの局所域の応力計測には不適であったが、今回の提案するセンサにより、こうした局所応力をワイヤレスに計測する技術を実現できたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、センサの多軸化に向けて取り組み、ペアの配列方向に並行な偏光入力により、配列方向の応力を読み取り可能であることが確認された。これにより、将来的には、複数方向、例えばロゼッタ状に配列した複数のナノ粒子ペア群を用いて、平面応力を決定できる技術を確立したことになり、おおむね順調な研究成果を得られているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、粒子の形状は円形であるが、DDSCATなどの散乱計算により、形状がロッドなど縦横にアスペクト比を有する形状のときに、入力線偏光の方向によるピークシフトが、よりシャープになることがわかりつつある。今後は、この方向を進めて、応力計測時のS/Nや他粒子ペアとのクロストークを減らすことをめざす予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
粒子の形状と散乱スペクトルの関係について、シミュレーションを含め、検証を行う。
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