2012 Fiscal Year Research-status Report
離散的制約を考慮した道路ネットワーク設計問題に対する最適化アルゴリズムの開発
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23710163
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮代 隆平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50376860)
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Keywords | OR / 数理工学 / 交通工学 / ネットワーク / 最適化 |
Research Abstract |
本研究は「離散的制約を考慮した道路ネットワーク設計問題に対する最適化アルゴリズムの開発」を目的とするものである.昨今の交通渋滞は時間的・経済的損失をもたらすだけでなく,地球環境にも大きなダメージを与え続けている.渋滞の改善策として道路の新規敷設や拡幅工事があるが,バイパス開通後に渋滞が増大してしまう事例のように,真に最適な道路ネットワークの設計は数理的最適化の観点からも難しい問題である.特に,道路ネットワーク設計最適化に対する既存研究では離散的制約を考慮できておらず,「ここに新規道路を0.17車線作れば渋滞が最小になる」というような不完全な答えしか得られていなかった.本研究では,現実的な道路ネットワーク設計に不可欠となる離散的制約を考慮した最適化アルゴリズムの開発を行い,効率の良い交通網実現への一里塚とする.研究計画は大きく二段階に分けられ「データ収集および数理的構造の解明」と,「得られた数理的構造を生かした最適化アルゴリズムの開発および検証」の部分からなる. 平成24年度の研究計画においては,各種の道路ネットワーク設計問題について,「高速に良い解を発見するアルゴリズムの開発」および「高速に最適性を証明する方法の開発」を集中的に行うことを予定していた.これについて,平成24年度では鉄道網を道路ネットワークの一部として拡張し,渋滞を解消するような鉄道ダイヤの最適化について研究対象を拡大した.またこの研究成果について,論文として発表を行った.また,前年度から引き続き行っている,非線形性の強いコスト関数が設定されているネットワーク作成問題に対して,計算機実験を詳細に行い,結果を国際会議等で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,「離散的制約を考慮した道路ネットワーク設計問題に対する最適化アルゴリズムの開発」を目的とするものであり,研究計画当初は道路インフラ改善のみによる交通渋滞の改善手法を扱うこととしていた.しかし,道路ネットワークに接続する鉄道網の最適化を行うことによっても渋滞の改善を行うことは可能である.これについて,時空間ネットワークとよばれる技術を導入することにより,「渋滞を最小にするような鉄道ダイヤの最適化」を行うことが可能になった.これにより,研究の有用性・拡張性が大きく進展した.またこの研究成果について,論文として発表を行った.また,前年度から引き続き行っている,非線形性の強いコスト関数が設定されているネットワーク作成問題に対して,計算機実験を詳細に行い,結果を国際会議等で発表した. 以上のことから,研究は予定通り進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進法則については,研究計画書に記載したとおり,以下の方針で進める. 「高速に良い解を発見する手法の改良および検証」:NP困難問題などに代表される高速な計算が困難な問題に対しては,近似精度が補償できるようなアルゴリズムの開発を行う. 「高速に最適性を証明する方法の改良および検証」:一般に最適解が最適であることの証明には,総当り的な探索を必要とし,長い計算時間がかかる.この問題点については,数理計画の一種である整数計画法を用いることにより,分枝カット法の技術を生かして計算の高速化をはかる. 「アルゴリズムの適用および検証」:開発したアルゴリズムを実データに適用し,従来手法と比較し有用性を確認する.また,一般の道路ネットワークについて,有用な知見を見出すことを目標とする. また研究課題の最終年度として,研究全般に関して取りまとめを行い,学会での発表および論文としての発表を行う.さらに,得られた研究成果の拡張性に関して,研究課題の分野に限定することなく調査を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学院生アルバイトを雇うデータ処理に関して,処理が効率的に進んだため,次年度使用額が8万円程度生じた.当該研究費については,研究課題に必要な最適化計算をより高速に進めるため,計算機を追加購入する予定である.その他,翌年度以降に請求する研究費については,研究計画書に記載した使用計画と概ね同じである.
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