2011 Fiscal Year Research-status Report
生活空間を考慮した大規模仮想都市モデルの実現に関する研究
Project/Area Number |
23710165
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 学 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (60553873)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 都市シミュレーション / 都市モデル / エージェントベースシミュレーション / SOARS |
Research Abstract |
本研究では,都市で起こりうる社会現象を再現する仮想都市モデルを構築するための環境の提供を目指す.従来では再現が難しかった,人間の生活空間と現実世界の位置情報の両方が反映された仮想都市の構築方法を提案し,実際に仮想都市を構築できるシステムの開発を行い、提供することを目指している。その中で、本年度の実施計画では、ネットワーク型の仮想都市構築法と階層型の仮想都市構築法のメリットを生かした,新たな仮想都市の構築法を提案することを目標とした。階層型の仮想都市構築法では、政府統計の総合窓口(http://www.e-stat.go.jp/)において公開されている地理情報システム(GIS)のデータを利用することで、特定の市町村を仮想都市として構築できる環境を整えた。ここで構築された仮想都市は、市町村階層を基盤に、町丁字階層・生活空間階層から構成される階層構造を持つ。当初、想定していた4階層構成(都市階層・地区階層・町丁階層・生活空間階層)から、地区階層の概念を除くこととした。これは、政府統計の総合窓口で得られる地理情報システムのデータに地区階層の概念がなかったためで、利便性より3階層構造の仮想都市を構築できる環境とした。なお、この環境は社会シミュレーション言語SOARSの標準ツールとして採用された。なお、本年度では、本研究で提案する仮想都市構築法の有用性を検証するために、3階層構造を持つ仮想都市モデルと従来手法のセル型構造を持つ仮想都市モデルの比較を行った。人間の生活空間における活動に重点の置かれた社会現象を仮想都市上で再現した際に、仮想都市の構築法の違いが、シミュレーション結果にどのような差が生じるかの比較を行った。具体的には、架空感染症が拡大する社会現象を想定し、シミュレーション結果の差を比較した。そのため、ネットワーク型の概念を仮想都市に組み込みは、次年度で実現することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、都市で起こりうる社会現象を再現する仮想都市モデルを構築するための環境の提供を目指す.従来では再現が難しかった,人間の生活空間と現実世界の位置情報の両方が反映された仮想都市の構築方法を提案し,実際に仮想都市を構築できるシステムの開発を行い提供することである。「人間の生活空間における活動に重点の置かれた社会現象を再現することが可能で地図情報が反映された仮想都市を構築するための環境を提供する」ことを目標としている。その中で、4年間の研究計画は、1年目:ネットワーク構造と行政区画を利用した仮想都市構築法に関する研究、2年目:統計情報から仮想都市を自動構築するシステムに関する研究、3年目:大規模都市シミュレーションを可能にする分散システムに関する研究、4年目:各領域研究者と協力したモデル構築に関する研究、と設定している。そのような中で、1年目の本年度は、行政区画を利用した階層型の仮想都市構築法を提案し、実際に仮想都市が構築できる環境を開発した。また、従来の標準手法であったセル型仮想都市構築法と、本研究で提案する階層型の仮想都市構築法で構築された仮想都市に社会現象を再現し、シミュレーションの結果の差異を比較を行った。そのため、本来のもう1つの目標であったネットワーク構造を、本研究で提案する仮想都市構築法に実装することはできなかった。しかし、本研究と従来研究の比較を行うことは重要であり、本研究の早い段階で比較を行うことができたことは有意義な点であったと捉え、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の当初の研究の推進方策で残されている課題は、1)統計情報から仮想都市を自動構築するシステムに関する研究、2)大規模都市シミュレーションを可能にする分散システムに関する研究、3)各領域研究者と協力したモデル構築に関する研究、3つに分類される。そのうち次年度に予定する研究内容は、「統計情報から仮想都市を自動構築するシステムに関する研究」である。本年度に残されたネットワーク構造の実装と合わせ、当初の予定通り研究内容を行う予定でいる。なお、最近に行われた国勢調査の調査結果が公開され始めていることにより、次年度に利用予定の統計情報の内容を見直す予定でいる。また、本研究で得られる成果を、広く社会で利用できるよう、準備をすすめる予定でいる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、当初、研究内容を発表する予定であった国際会議は国内開催になったことにより、予定よりも旅費を使用しなかったことによるものである。今年度は、本研究の中間発表を国内会議および国際会議で報告をする予定である。次年度使用額と合わせ、研究内容を発表する機会を増やす予定でいる。また、研究遂行に必要な計算機の補填・補強および統計情報の整理上、必要となる人件費を支出する予定である。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] ABMを用いた節電施策の評価手法2011
Author(s)
高橋悟, 竹林知善, 園田俊浩, 出口弘, 市川学, 太田博士
Organizer
計測自動制御学会 システム・情報部門 学術講演会(SSI2011)
Place of Presentation
国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)
Year and Date
2011年10月23日
-