2011 Fiscal Year Research-status Report
多角形コンテナヤードにおけるコンテナブロックサイズと配置の最適化に関する研究
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23710169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西村 悦子 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (60311784)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コンテナヤード / コンテナブロック / 最適化 / アルゴリズム |
Research Abstract |
(1)ターミナルレイアウトと荷役マシン特徴の調査: 世界の主要港湾を対象に、文献やWebサイト等から港湾の形状、レイアウト、荷役機器等の情報を整理した。荷役機器の作業特性は、文献や過去の現地観測データを元に、加工することで計画通りに行えるよう工夫した。(2)ヤード保管エリアでの通路配置問題の範囲決定: (1)の結果、ヤードエリアの形状、岸壁延長に垂直な通路配置の条件で数種類に分類し、各々のモデル式を考案した。(3)コンテナ配置問題の範囲決定と解法アルゴリズム開発: どのレイアウトでも適用可能なモデルを構築するために、コンテナの取扱、ターミナル内のコンテナフローの条件等、前提条件を明らかにし、定式化を行い、GAとタブサーチに基づくヒューリスティクス解法を開発した。(4)国内外の研究者・実務者との意見交換: 国内外の関連学会に参加し、単純形状のターミナルでの計算結果を元に、現段階の問題設定や計算結果を紹介し、本問題の現実性や考え方の正確性を議論し、様々な情報を得た。意義と重要性 コンテナターミナルでは、荷役の高度化に向けて、自動化・無人化等ハード面の荷役機器や設備開発が進んでいるが、本研究ではソフト面での工夫を目的に、荷役時間延長を左右するコンテナ配置問題を取り上げる。ターミナル形状は、岸壁延長に長い長方形が多いが、海外では複雑な形状を持つものもある。単純形状では通路位置は等間隔に配置され、その通路数を増やせばコンテナ搬送時間を短縮できる場合もあるが、保管容量が減ることから限度がある。反対に、複雑な形状では通路位置の決定が難しく、荷役時間長を大きく左右する。そこで(1)は、問題の複雑さを段階に分けるために非常に重要であり、作業の最初に行った。(2)から(3)は、文献や既存研究等を参照し、問題設定と解法の提案を行った。(4)次年度以降の方向性も見出すことができ、非常に有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ターミナルレイアウトと荷役マシン特徴の調査: 文献やWebサイト等から港湾の形状、レイアウト、導入されている荷役機器等の情報整理を予定通り、初めに行ったことで、問題の複雑さを段階的にとらえることができ、本年度では単純なレイアウトを対象にコンテナ配置計画を扱えた。また荷役機器別の特徴は、文献や過去の現地観測データを利用できることが分かったため、既往のモデルの一部の加工で時間短縮出来ることが予定通りのスケジュールを維持している。(2)ヤード保管エリアでの通路配置問題の範囲決定: (1)の結果、ヤードエリアの形状、および岸壁延長に垂直な通路配置の条件で分類できることが分かったため、岸壁延長方向に長い長方形の単純形状ターミナルに絞って、通路数の変化に伴う、岸壁-ヤード間の移動にかかる時間変化と保管容量の変化のみの影響をみることができた。(3)コンテナ配置問題の範囲決定と解法アルゴリズム開発: 複雑なレイアウトでも、適用できるモデルを構築することで、意見交換等により、次年度に一部の改良が必要になったとしても、(2)とそのモデル構築に時間を費やすことができる。(2)を次年度行う必要性が出てきたため、順番を入れ替え、次年度行う予定であったコンテナ配置の解法アルゴリズムを開発した。(4)国内外の研究者・実務者との意見交換: 国内外の関連学会に参加する目的は、途中段階の問題設定やサンプルの計算結果を紹介することで、取り扱う問題の現実性や考え方の正確性について議論を行うことである。様々な意見やコメントがあり、次年度へ向けた方向性が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 複雑レイアウトにおける通路配置問題のモデル化の確認: 本年の成果として、岸壁延長方向に長い長方形の単純形状ターミナルに絞って、通路数の変化に伴う、岸壁-ヤード間の移動にかかる時間変化と保管容量の変化のみの影響をみた。そこで次年度では、次のステップとして、複雑レイアウトに対し通路数を予見とすると、その位置をどこに設定するかは、岸壁-ヤードブロック間の移動距離ならびに移動時間に影響を与えると考えられる。また隣り合う通路間の距離でブロックサイズが増減することから、複雑レイアウトにおいては、ブロックサイズ決定と通路配置決定は表裏一体の問題となる。従って、通路配置問題の定式化の確認および改良を行う。(2)複雑レイアウトにおける通路配置問題の解法アルゴリズム開発: (1)でモデル化した問題に対し、解法アルゴリズムを提案する。定式化を単純に表現できれば、既存の解法で解ける場合もある。そこで、(1)の後に、どの解法が利用できるかを検討し、当該モデルの解法アルゴリズムを開発する。(3)複雑レイアウトにおけるコンテナ配置問題の数値実験: 船の寄港パターンや係留パターンを複数種類用意して、当該レイアウトでの効果的な通路配置を行う。なおレイアウト形状も複数パターン用意するが、その中には単純レイアウトも含んで、どのような結果を導き出せるか示す。(4)国内外研究者・実務者との討議: 最後のまとめに入る前に、可能な限り、途中段階の進捗状況は講演会や研究会等で報告し、意見交換を行って、本問題設定の妥当性の検証と今後の発展への情報を得ることを目標とする。(5)最後に、前年度分も含めて報告書にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の残予算について: 文献(海外コンサルタント会社の報告書)を当該年度の10月に発注中したにも関わらず、図書館の事務手続きミスにより、発注できなかったとの連絡が3月にあった。従って、次年度において当該文献を発注することになってしまったため、このような結果になっている。また保存媒体等の消耗品購入を次年度にしたこともその要因である。本年度の使用計画: 物品購入費の中心は、国内外の港湾関係(海外)の文献である。これは、最新の施設整備状況を把握するために、非常に有益である。またコンテナ配置問題は、コンテナの到着からが一時的にターミナルに保管され、船もしくは内陸へ出発することから、サプライチェーンやロジスティクスの中の在庫管理の応用と見ることができる。従って、関連書籍により、問題の取扱の工夫が出来ると考えられ、またモデル構築のための解法について記述した文献についても購入予定である。 次に、研究打合せ・学会参加のための旅費を必要とする。これは、港湾関係の学会には研究者のみならず、実務者のセッションもあり、彼らとの意見交換・情報収集を行えるためである。関連して、学会参加費を必要とする。現時点の予定としては、ドイツで開催予定の学会に参加が認められており、論文の出来によっては国際ジャーナルの論文として掲載されることがあるため、参加する。また国内学会は、国・港湾の事情によって、問題の考え方が異なっている。そこで国内の研究者との情報交換を行うために参加する。またデータ収集と整理のために学生アルバイトを雇用する予定であり、これに謝金を必要とする。夏休みあたりを利用し、1ケ月程度を目途に集中したデータ収集を行う。最後に、研究報告書としてまとめる必要があるため、印刷代を必要とする。
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Research Products
(5 results)