2011 Fiscal Year Research-status Report
配送計画問題に対する数理計画的アプローチによる効率的解法の開発
Project/Area Number |
23710175
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 英樹 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (70548114)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 配送計画問題 / メタ戦略 / 局所探索法 / 組合せ最適化 |
Research Abstract |
配送計画問題は、様々な制約条件の下で、複数の車両を用いて全ての客をちょうど1回ずつ訪問するような経路の中で、コストが最小のものを求める問題である。これは、代表的な組合せ最適化問題の一つであり、また非常に実用性のある問題で、郵便・新聞配達、廃棄物収集、石油運搬や機械スケジューリングなどの応用を持つ。 一般に、配送計画問題を含むNP困難な問題では、与えられる問題例に対して厳密な最適解を求めることは現実的に極めて困難であると考えられている。そのような問題に対する現実的妥協策として近似解法がある。基本的でかつ有効な近似解法の一つに局所探索法と呼ばれるものがある。これは、現在の解の近傍に良い解があれば移動する、という操作を反復することで解を改善してゆく手法である。また、これらの近似解法を組合せるなどの方法により、多少時間はかかっても、より精度の高い解を求める枠組はメタ戦略とよばれる。さらに、2006 年頃から、数理計画法を用いたアプローチにより効率的に高品質な解を求めるメタ戦略の枠組みが注目を集めている。それらは、mathematics とheuristicsを合わせてmatheuristic と呼ばれている。 配送計画問題には、時間枠付配送計画問題や集配計画問題などのように、異なる制約をもつ様々なタイプの問題がある。本研究の初年度では、その多くのタイプの配送計画問題に適用可能な汎用的で効率的な局所探索法の枠組みおよびそれを用いたメタ戦略を提案した。また、局所探索での近傍探索をひとつの最適化として捉え、数理最適化問題としてモデル化した。これにより、近傍探索問題での最適解の精度や局所探索法に適した近傍を明らかにすることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の研究が遅れている理由は、ひとえに、想定していたより研究に時間がとれなかったためである。その原因は、私が大学を異動したため、新しい授業を受け持つことになりその準備や、学会を幹事の一人として開催するなどの想定外の作業が発生したこと挙げられる。 次年度は、本大学で2年目の勤務であり、学会を開催する予定もないため想定通りの時間を研究にさくことができる。また、研究計画は少し余裕を見て立ててあるので、本研究全体では許容できる遅れである。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度で述べたように、研究の進み具合が当初のスケジュールより少し遅れているが、これは研究に思っていたほど時間をとれなかったためで、研究の方針等には問題はないと考えている。今後の研究の進め方としては、次年度の6月までに1年目に未実施の研究を実施し、それから2年目に計画していた研究に移る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究での研究費は主に計算機、旅費、書籍に使用する。 本研究では大量の計算実験を行うため高性能な計算機が不可欠であるが、そのような実験は完成が近付いたアルゴリズムを様々な面から検証するためのものである。初年度では比較的計算量の少ない計算実験だったため計算実験用の高性能な計算機を購入しなかった。次年度の後半には、計算機を購入し本格的な計算環境を整える予定である。 書籍は本研究と関連する従来研究の調査のため適宜購入する。 旅費は、研究協力者との研究打合せ、資料収集、成果発表に対するものである。次年度は、国内の学会や研究協力者との研究打合せのために国内出張を数回、国際会議のために海外出張を一回程度する予定である。
|
Research Products
(1 results)