2012 Fiscal Year Research-status Report
配送計画問題に対する数理計画的アプローチによる効率的解法の開発
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23710175
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
橋本 英樹 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (70548114)
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Keywords | 配送計画問題 / 局所探索法 / メタ戦略 |
Research Abstract |
配送計画問題は、様々な制約条件の下で、複数の車両を用いて全ての客をちょうど1回ずつ訪問するような経路の中で、コストが最小のものを求める問題である。これは、代表的な組合せ最適化問題の一つであり、また非常に実用性のある問題で、郵便・新聞配達、廃棄物収集、石油運搬や機械スケジューリングなどの応用を持つ。配送計画問題は、与えられる問題例に対して厳密な最適解を求めることは現実的に極めて困難であるため、近似解法の研究が行われている。近似解法の一つの局所探索法は、現在の解の近傍に良い解があれば移動する、という操作を反復することで解を改善してゆく手法である。また、いくつかの近似解法を組合せるなどの方法により、多少時間はかかっても、より精度の高い解を求める枠組はメタ戦略とよばれ盛んに研究されている。さらに、2006 年頃から、数理計画法を用いたアプローチにより効率的に高品質な解を求めるメタ戦略の枠組みが注目を集めている。 本年度の研究では、局所探索法での近傍探索をひとつの最適化として捉え、数理計画問題としてモデル化し、ベンチマーク問題例とそれに対するこれまでの最良解を用いて計算実験を行った。これにより、最良解が近傍探索問題に対してはほぼ最適解であったことを実験的に示した。さらに、最良解と真の最適解との構造の違いを解析し、この構造の違いに着目した探索法を設計した。この探索法により、ひとつの局所最適解からなかなか抜け出せないという状況を避けることができ、探索の性能を飛躍的に向上させることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は私の異動に関連する作業に時間をとられ本研究の進捗が少し遅れていたが、本年度はその遅れを取戻し、おおむね予定通りに進んでいる。 近傍探索問題に対する計算結果では、これまでの最良解がほぼ最適解であったという予想外の結果が出た。しかし、いくつかの問題例に対しては最良解と異なる真の最適解が得られ、その違いを解析することで新しい探索法の着想に至り、本年度の研究目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度である。本年度に設計した探索法を実装し、計算実験によりその効果を確かめる。そして当初の予定通り、この探索法を用いて高性能メタ戦略を開発する。 研究を実施する各段階で様々な問題例に対して計算実験を行い統計的な性能を検証しながら進めていく。メタ戦略の設計および性能評価について適宜、柳浦教授と意見交換を行うことで、研究を円滑に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究での研究費は主に計算機、旅費、書籍に使用する。 本研究では提案アルゴリズムを様々な面から検証するための大量の計算実験を行う。計算機はできるだけ高性能なものがよいが、その性能は一年で大幅に改善されることがある。そのため、本年度はまず現時点で高性能な計算機を1台購入し、次年度にもう1台の計算機を購入することとした。本年度の未使用の研究費は次年度の計算機の購入費にあてる。 書籍は本研究と関連する従来研究の調査のため適宜購入する。 旅費は、研究協力者との研究打合せ、資料収集、成果発表に対するものである。次年度は、国内の学会や研究協力者との研究打合せのために国内出張を数回、国際会議のために海外出張を一回程度する予定である。
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Research Products
(3 results)