2013 Fiscal Year Research-status Report
ファクターモデルを用いた下方リスク制御のための罰則付き最適化アプローチ
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23710176
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
後藤 順哉 中央大学, 理工学部, 准教授 (40334031)
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Keywords | CVaR / 実数空間上のノルム / 凸最適化 / SVM |
Research Abstract |
平成25年度の実績は主に2つに分けられる。1つ目は、機械学習の手法であるサポートベクターマシン(SVM)とリスク尺度の理論を組み合わせ、一般化した定式化に関する研究である。具体的には、昨年度実施した研究ではCVaRを含むコヒレント尺度まで一般化していたが、本年度は一般の凸汎関数まで拡張し、SVMの定式化における経験的リスクと正則化の関係について、基本的な議論を行った。この研究は研究代表者が在外研究期間を利用し、訪問先の教授と連名で行ったもので、その基礎研究(CVaRの概念をベースにした、線形計画問題として表すことの出来るノルムに関する研究など)も含め、3本の論文としてまとめ投稿し、現在改訂中である。なお、昨年度実施したコヒレント尺度に関する論文については、平成25年度序盤に国際学術雑誌Computationa Management Scienceに採択された。 2つ目は、高野祐一講師(専修大学(当時東工大))との共同研究として行った、CVaRを用いたポートフォリオ選択問題に対する解法の研究である。具体的には、以前同講師との共同研究で提示した動的制御カーネル制御ポリシーを用いた方法が、問題の入力サイズに対して急激に問題の規模が大きくなることから、その規模の拡大を抑える工夫を提案したものである。本研究については、論文にまとめ投稿した後、1回の改訂を経て、国際学術雑誌Expert Systems with Applicationsに採択された。 いずれの研究についても、過年度の成果を踏まえた、発展的な内容となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度初めに計画した通りの内容について概ね実施できたため、順調に推移していると評価している。実際、SVMとリスク尺度の関係をめぐる議論について、当初予定していたコヒレントリスク尺度に対する枠組みを超え、凸汎関数で表されるリスク尺度を用いた議論に拡張できた。そのうちの1つの命題は、既にQuantitative Finance誌出版されている論文に記した正則化つきのCVaR最小化が、より広く、単調で平行移動に関して不変的な、凸リスク尺度最小化まで拡張できることを示唆している。また、基礎研究として行った、線形計画に変換可能なノルムについても、これまで研究してきたものへ直接的に適用することが可能な結果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるため、成果の発表を行いつつ、これまでの結果を踏まえた統合を中心として理論的な展開や応用的研究を行っていく。具体的には、8月下旬の日本オペレーションズ・リサーチ学会、11月上旬のサンフランシスコ(米国)で行われるINFORMSの年次総会など、国内外での研究発表の機会に参加し成果の発表を行う予定である。また、まったく異なる新しい応用の可能性を探ることも野心的な目標の1つとして掲げておきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は在外研究期間と重なったため、旅費での支出が不可能であったこと、また、設備品の購入についても検収などの手間、移動の際の手間などを考え、購入を控えたことなどから、差額が生じた。 設備品について昨年度購入を控えた分の支出が予想されるため、問題なく計画を遂行できるものと考えている。
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