2011 Fiscal Year Research-status Report
遅延制約のあるサービスシステムの待ち行列モデルを用いた性能解析
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23710178
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
佐久間 大 広島商船高等専門学校, 流通情報工学科, 講師 (00434027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 待ち行列 / マルコフ過程 / 生産システム / 漸近解析 |
Research Abstract |
利用客の待ち時間に対する制約がサービスシステムの性能へ与える影響について、理論研究を行った。このようなシステムに対する基本的な待ち行列モデルでさえ、確率モデルとして各利用者の待ち時間に関する情報を必要とし、モデルの推移構造は複雑である。そのため、システムの性能評価量を解析的に扱いやすい表現により導出することは困難である。そこで、以下の3点について研究を進め、成果を挙げた。(1)単一待ちスペースをもつ待ち行列モデルの漸近解析を行うことにより、利用者の待ち時間分布について理論的な近似式を導いた。ここで得られた近似式は、解析的に扱いやすい形であることが確認されただけでなく、数値的な近似精度の保証が確認された。(2)時間制約に起因する待ち客の退去過程に対して、任意時間の退去率のマルコフ的な近似を行った。特に、本手法を複数待ちスペースをもつ待ち行列モデルへの適用を行い、近似モデルの精度の高さを数値的に示した。さらに、この近似モデルが実際の生産システムへ応用可能であることを述べた。(3)時間制約のみならずサービス窓口に休暇があるモデルの性能解析を行った。窓口の休暇があるモデルは、ポーリングシステムや窓口故障のあるシステムを表すことができ、モデルとしての汎用性は高い。ここでは、モデルの定常分布を導出しただけでなく、時間制約や休暇がない通常の待ち行列モデルと比較して、モデルの確率的振る舞いが定常分布の裾確率の意味で大きく異なることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げた項目の内、およそ5割については結果が得られていることから、進捗状況は順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)遅延制約のある待ち行列モデルにおける途中退去確率の定性的特性について理論解析を行う。このためには、モデルのサンプルパスの比較によるアプローチが有効であると予想される。よって、この手法に精通しているNational Dong Hwa大学のWang教授と協力し研究を進める。(2)待ち客の途中退去率に対するマルコフ近似について、より一般的な確率的仮定の下での適用を試みる。この近似モデルの精度を検証するため、シミュレーションとの数値比較実験を実施する。(3)本研究で対象とする待ち行列モデルは全て状態に依存した推移をもつ。そこで本研究を通して、状態依存型推移をもつマルコフ過程の解析方法について試行的研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を発表するため、国内および国外の会議にそれぞれ2回出席する計画を立てている。そのための旅費として研究費を使用する予定である。また、研究を進める上で必要な書籍の購入、論文の印刷などについても研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)