2011 Fiscal Year Research-status Report
3次元レーザ計測に基づく大規模環境高度診断技術の開発
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23710180
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 知広 日本大学, 工学部, 助教 (30547831)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 長距離型レーザ計測 / コンクリート構造物 / スケーリング |
Research Abstract |
高度成長期に造られた膨大な数のコンクリート構造物の老朽化が進み,これらの維持管理が社会的な課題となっている.特に寒冷地における道路橋では,融雪剤や凍結防止剤の大量散布に起因し,コンクリート構造物表層部のスケーリング劣化が顕在化している.スケーリングは,凍結融解作用によりコンクリート表層部が剥離する劣化現象であり,融雪剤などに含まれる塩化物の作用により,その進行が促進されることが知られている.このスケーリング劣化は,構造物の美観を損なうのみならず,鋼材の腐食を引き起こし,さらには構造物耐久性の低下にもつながるため,適切な評価を行うことが極めて重要である.しかしながら現状では,このスケーリング劣化は目視により経験的に評価されることが一般的であり,定量的に評価する手法は未だ確立されていない.本研究では,保守点検が特に重要な道路橋を対象とし,建築や土木の分野を中心に急速に普及している長距離型レーザ計測により取得した構造物のレーザ計測3次元データから,スケーリング量及びその経年変化を定量的に評価可能な技術の開発を目的とし,2010年度より研究を開始している.2010年度には,リージョングローイング法を応用し,構造物健全時の表面形状を工学的に妥当な方法で推定し,推定した形状と計測データとの距離を評価することで,スケーリング深さを定量的に評価可能な技術の開発を行った.2011年度は,開発済みの技術に改良を加え,さらに機械系CADの分野ではよく知られたICP法を応用した2時期計測データの高精度なマッチング技術を開発し,データ間の差分を計算することから,スケーリング深さの経年変化を定量的に評価可能な技術を開発した.いずれの手法についても,実際の道路橋計測データに基づく様々な実験より,本技術の有効性を検証済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた,スケーリング深さ及びその経年変化の定量的評価技術の開発を完了し,様々な実験よりその有効性を確認している.前者に関しては,国内学会2件,国際会議1件にて発表済みであり,後者については今年度の国内外の学会にて発表を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに開発済みのスケーリング深さの評価技術に加え,スケーリング体積の評価技術を開発する予定である.また同じ道路橋の計測を継続的に行い,長期的な経年変化の評価を行っていく予定であり,そのための技術開発も合わせて行う.さらに得られた結果を気温や標高等を考慮したシミュレーションに統合することで,スケーリングの進行予測を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
道路橋のレーザ計測は業者への依頼となるため,業務委託費として50万円を使用予定である.また国内学会2件,国際会議1件,委員会・研究会3件,道路橋計測1件の旅費として60万円,消耗品費として31万円,合計141万円を使用予定である.
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Research Products
(3 results)