2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元レーザ計測に基づく大規模環境高度診断技術の開発
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23710180
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 知広 日本大学, 工学部, 助教 (30547831)
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Keywords | 地上型レーザスキャナ / コンクリート構造物 / 森林バイオマス |
Research Abstract |
寒冷地における道路橋等のコンクリート構造物では,凍結融解による凍害と融雪剤等に含まれる塩化物による塩害の複合作用により,構造物表面のコンクリートが剥離するスケーリングが顕在化しており,構造物維持管理のためにはこのスケーリングを適切に評価することが必要とされている.本年度はスケーリングの経年変化を定量的に評価することを目的とし,長距離型レーザスキャナにより取得した構造物の多時期計測データを高精度に整列させるため,ICP法に特徴サンプリングを統合した新手法の開発を行った.その結果,既存の手法と比べ高精度に,2ミリ程度の誤差でデータ整列が可能であり,それゆえスケーリングも高精度に評価可能であることを,複数個の道路橋計測データに対する実験より実証した. 一方で,CO2吸収源や新たなエネルギ資源として,森林の持つ多面的機能の重要性が年々増している.しかしながら現状では,森林維持管理技術の未熟さゆえ,国内林業が衰退の一途を辿っていることは林野庁の報告にもある.特に自然環境である森林では,建築物や土木構造物のような維持管理の際の基盤情報となる図面やCADデータが存在しないことが大きな要因となっている.本研究では持続可能な森林経営を支援するため,レーザスキャナにより取得した計測データより,森林内部の高詳細な地図を作成し,これより森林バイオマスを高精度に算出可能な技術の開発を目的としている.このため本年度は,計測データ中の各樹木位置を特定し,さらにバイオマス推定に不可欠な各樹木の樹高と胸高直径を自動算出可能な技術の開発を行った.その結果,樹木位置は80%程度の樹木に対しては特定でき,胸高直径は5ミリ程度の誤差で高精度に算出できることを,実際の森林計測データより実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンクリート構造物のスケーリング評価に関しては,当初の目的であった,竣工時から現在までの合計スケーリング深さを評価可能な技術,及びその経年変化を評価可能な技術の開発のいずれも完了し,様々な実験からその実用性を確認した.また国内外の学会での発表実績も多く,実際の道路管理者からも問い合わせがあり,当該分野のトップジャーナルにも条件付き採択が決定しているなど,目的を十分に達成したといえる. 森林バイオマス推定については,実際に森林内部の計測を行い,予定通り技術の開発は行ったものの,樹木位置の特定率が実用精度を満たさないことが課題としてあげられる.これについては今後更なる技術の改良が必要となる.
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Strategy for Future Research Activity |
コンクリート構造物のスケーリング評価については,これまで研究対象としてきた道路橋を継続的にレーザ計測し,地域差や環境差によるスケーリング進行速度の違いを評価していく予定である. また,森林バイオマス推定技術を発展させ,森林内部の高詳細3D地図作成に向け研究を進めていく.具体的には,開発済みの技術に局所特徴量計算技術等を統合し,各樹木の局所的な形状特徴を定量抽出し,森林内部の各樹木位置をより正確に特定可能な技術の開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
道路橋のレーザ計測のための業務委託費として50万円,国内学会での発表及び国内研究会参加のための旅費として30万円を,PC関係・OA関係消耗品費として25万円を予定している.
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Research Products
(6 results)