2012 Fiscal Year Research-status Report
病院間比較を可能にする与薬事故分析手法に関する研究
Project/Area Number |
23710184
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐野 雅隆 東京理科大学, 工学部, 助教 (50580221)
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Keywords | 医療安全 / 与薬事故 / 事故分析手法 / 品質管理 / プロセス指向 |
Research Abstract |
病院が安全な医療を提供するためには,医療事故発生への対処が重要である.本研究では,与薬事故に着目をして研究を進めている.各病院では,独自の作業方法で与薬している,事故報告書を組織横断的に分析しておらず,どの作業方法が安全であるのかを分析できていない.そこで,事故情報を有効に活用するための新しい方法論の開発に向けた研究を行っている. その中でも,作業方法を改善して与薬事故を低減するために,発生している与薬事故の傾向を把握することで病院間の比較を可能にする分析手法を提案する.特に,平成23年度は,病院間の比較を可能にするために,与薬業務を作業要素に分解して記述した.実際のインシデントの比較分析を行い,記述方法の妥当性を検討した.これにより,各病院において特有の作業方法を明らかにし,事故が多く発生した際に着目すべき差異を把握できた. 平成24年度は,前年度の成果に基づき,事故件数の基準化方法を検討した.各作業要素の事故発生傾向を把握することで,それぞれの具体的な作業方法を把握する手法を検討し,より安全な業務手順を検討することが目的である.その後,方法の検証およびその結果に基づく方法の改善を行った.実際に複数病院において比較可能な形で検討することで,各病院固有の危険な作業方法を明らかにし,改善のための指針を検討した. これまでの研究成果については,Asian Network for Quality, International Conference on Quality and Service Sciencesにて発表し,International Journal of Quality and Service Sciences誌に掲載されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のように,これまでの研究成果については,Asian Network for Quality, International Conference on Quality and Service Sciencesにて発表し,International Journal of Quality and Service Sciences誌に掲載されており,当初の予定よりも研究成果が出ている.さらに,Total Quality Management & Business Excellence誌への掲載が決定している.また,医療の質安全学会誌,看護管理学会誌への投稿中である. また,平成25年度に実施予定であった作業FMEAの実施については,その準備がすでに完了しており,当初の計画以上に進展しているといえる.また,医療安全情報の活用に関する知見についても,平成25年度のAsian Network for Quality, International Conference on Quality and Service Sciencesでの発表の採択が決定しており,国際的な場での議論をすることでますます進展することが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,作業FMEAを実施すること,及び内部監査・外部審査結果との対応付けをすることで,業務システムの評価を可能とし,改善をより効率的に進めるための方法を明らかにする.これまでに,過去の年度における成果を生かしながら,作業FMEAの実施に必要な記述単位の検討が完了している. また,医療安全情報の活用に関する知見についても,平成25年度のAsian Network for Quality, International Conference on Quality and Service Sciencesでの発表の採択が決定しており,より安全な与薬業務の作業方法を各病院で検討するための手法を明らかにすることが期待できる.また,医療の質安全学会誌,看護管理学会誌への投稿中の成果についても,掲載に向けた改訂を進める予定である. さらに,病院関係者との議論を通じて,本研究課題の有用性について明らかにし,検証することが最終年度の推進方策である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題に関しては,当初の予定以上に進展しているが,次年度使用額が一部ある. これは,検証にかかるデータの取りまとめに関する謝金や英文校閲に関する費用などをこれまでの研究年度でも確保していたが,比較的安価に収めることができたためである. 次年度は,本研究課題の最終年度であり,これまでに開発した手法の実証および成果発表が主な研究計画となっている.研究費の使用計画としては,国際学会での発表を計画しており,その旅費を計上している.また,国内の旅費は,病院関係者との検証計画についての議論および実施にかかる旅費として計上している.謝金は,検証に関するデータの取りまとめを依頼する予定であり,必要な物品に関する予算を計上している.
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