2011 Fiscal Year Research-status Report
機械学習理論を用いた社会的インフラシステムの維持管理評価手法の開発と実用化
Project/Area Number |
23710185
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
尹 禮分 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (10325326)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 維持管理計画 / 社会的インフラシステム / 機械学習 |
Research Abstract |
日本では下水道普及率の上昇に伴い、下水道管渠のストックは膨大な量となっており、その総延長は約40万kmに達し、今も増加する状況にある。管渠施設の中には、標準耐用年数50年経過管が約7千km、30年経過管でも約7万kmを占め、管路施設の老朽化や損傷などに起因した道路陥没も増加傾向にある。下水道管の敷設後30年を経過した時点で陥没箇所が急増し、2007年には約4700件の道路陥没事故が発生し、道路交通や市民生活に与えている弊害は大きい。下水道施設が供用開始後社会的インフラシステムとしてその機能を適正に発揮するためには、改築修繕・維持管理するための手法が必要となっており、今は社会基盤施設全般において維持・管理・再生する技術の研究開発が促進されている。しかし施設や設備に対する調査・点検箇所を合理的かつ効率的に選定する方法がなく、しかも社会基盤施設の老朽度や損傷度合を高精度で客観的に判定できる手法もないのが現状である。そこで、本研究では社会的インフラシステムの一つである下水道維持管理計画するために、機械学習理論を用いた管渠の定量的・客観的な老朽度および損傷度合いの評価法および下水道管渠の合理的・効率的な点検調査方法の提案を目的とし、今年度は下水道管渠を対象とし、維持管理の実態調査結果をもとに管渠の諸元・調査結果と道路陥没との関連性を把握し、管渠の老朽度・損傷度合の評価法について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画として下水道管渠を対象に (1)布設状況や維持管理の判断基準・考え方を把握し、管渠施設の老朽化や損傷に起因した道路陥没事故の事例調査を行う。 (2)現状の維持管理上の課題・問題点を調べ、管渠の諸元・調査結果と道路陥没との関連性を把握する。 (3)管渠の老朽度・損傷度合の評価法を提案する。を予定していたが、(1)~(2)はすでに完了することができ、(3)については現在検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の成果をもとに、点検・調査すべき箇所の選定法について検討を行い、道路陥没に重要と思われる評価項目(要因)を特定する。さらに、従来の方法との比較検証を行い、総合的な管渠の維持管理方法を構築していく予定である。具体的には、・下水道管渠の点検データを基に、サポートベクターマシンを用いた老朽度・損傷度合の評価法を提案し、既存の老朽度評価法との比較検証を行う。・老朽度・損傷度合の評価に基づき、点検・調査すべき箇所の選定法を提案する。・管渠の老朽化や損傷に起因して生じた道路陥没に大きな影響を与えると思われる重要な要因を統計的解析手法や計算知能手法を用いて解析する。・ケーススタディを実施し、提案手法の有効性および適用性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析の対象としている下水道管渠の点検データは大規模であり、これらの解析には多大の計算時間がかかる。そこで、高速でかつ正確な解析を行うために、以下に示す解析ツールおよび高性能の最適化ソフトや得られた解析結果に対するデータ分析用のパッケジが必要である。 ・解析ツール ANSYSと最適化モジュール ANSYS Design Xplorer:70万円 ・統計データ分析パッケジ(SAS):50万円当該年度に予定していた「管渠の老朽度・損傷度合の評価法」が現在検証中であり、次年度に検証が完了すると、その結果を国内・国際学術会議で研究発表を行い、関連分野の専門家と意見交換および議論を通じて、提案法の客観性や有効性について検討する。したがって、今年度計画していた研究経費の一部を次年度へ繰越し、謝金や旅費などに充てる。
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