2012 Fiscal Year Annual Research Report
高圧で噴出する可燃性ガスの自己着火危険性の科学的解明
Project/Area Number |
23710190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 俊夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50392668)
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Keywords | 安全工学 / 燃焼工学 / 高圧水素 / 衝撃波 / 自己着火 |
Research Abstract |
高圧可燃性ガスが空気中に瞬間的に放出された際の着火危険性について、着火に及ぼす要因およびこれまでに明らかにされていない高圧条件における着火危険性を実験的および解析的に検討した。 高圧水素ガス噴出時の自己着火現象において着火限界に及ぼす配管形状の影響について調べた。配管壁面に乱れが発生するような構造や、オリフィスのような配管出口で乱れが発生するような条件の場合、着火するときの放出圧力が低下することがわかった。さらに、高圧条件における着火現象の計測では、低圧側の酸素濃度と大気圧下と同じ濃度にすることにより、高圧条件を模擬した実験を行うことが可能となった。さらに、化学平衡計算で求めた着火誘導時間と一次元衝撃波理論から求めた加熱時間の大小から最低着火初期圧力比を予測する手法を提案し、実験値と比較することで、その有用性を示した。 また、着火現象の詳細な計測を行った結果、衝撃波面と空気と水素の接触面の間で燃焼反応が開始されていることが実験的に明らかになった。すなわち、高圧水素ガス噴出時の着火現象には、水素と空気の混合が重要であることが示唆された。 数値シミュレーションでは、配管内での混合と着火の現象を再現できるようになり、実験結果を再現できるようなシミュレーションが行えるようになった。また、自己着火は配管との境界層ではなく、空気と水素の接触面で着火することがシミュレーションでも示され、前述の着火過程の説明をより明確に行えるようになった。
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