2011 Fiscal Year Research-status Report
主観的認知ゲーム理論に基づく重要インフラの防護戦略と情報公開に関する研究
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23710192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 護 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60539550)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | テロリスク / 情報開示 / 重要インフラ / 土木計画学 / リスク移行性 / 主観的認知ゲーム |
Research Abstract |
近年,政府は,重要インフラのリスク管理状況について国民に対して説明責任を果たすことが求められているが、不適切なリスク管理に関する情報開示はテロリスクを増加させることにつながりかねない.本研究では,テロリスクを想定した上での重用インフラに関する情報開示戦略に関して,政策的示唆を得ることを目的としてゲーム理論を用いて分析を行っている.なお,多くの既往研究においては,政府、テロリスト,国民が想定するお互いの戦略的関係性は同一であるという仮定のもとで,それぞれの意思決定問題が定式化されていたのに対し、本研究では,政府とテロリスト,また国民がそれぞれ異なる戦略的関係性を想定し自らの意思決定を行う「主観的認知ゲーム」を用いて情報開示に関する政策的知見を得ることを試みている.政府とテロリストのコミュニケーションが遮断されている状況下においては,本仮定を採用する方が現実的妥当性は高いと考えられる.その上で,平成23年度は,複数のインフラを管理している政府を想定し,テロリスクを軽減しうる政府による情報開示策について分析を行った.情報開示策については,インフラ個別のテロ対策の実施状況に関する情報開示策ではなく,政府のテロリスクの警戒水準といった、インフラ全体が抱えるテロリスクに対して働きかけを行うような情報開示策が有効的であり,効果的な範囲があることを示した. これらの成果は,土木学会関西支部年次学術講演会,土木計画学会,2011 International Conference on Systems, Man, Cyberneticsを通じて研究発表を行い,その現実的妥当性と適応可能性について議論を行い,テロリスクに備えるという観点から情報開示が抱える問題点と課題については共有化することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,当初の計画通り,リスク評価の主観性を考慮した複数インフラの情報開示戦略に関する研究を行った.複数のインフラを管理している政府を想定することにより,単一のインフラを管理する場合と異なり,あるインフラの防護が他のインフラのテロリスクを上昇させるというリスクの移行性の問題が生じる.そのような問題に対しては,政府の警戒水準の開示という,各インフラのリスクを個別に開示するのではなく,政府がテロリスクを統合的に対処することが重要であり,それが有効に機能する範囲を示した. これらの研究成果は,概ね計画段階で想定していた結果と相違なく政策的示唆が得られており,これらの成果は,国内学会(土木計画学会、土木学会関西支部)において計画通り研究発表を行った.また,国際学会については,当初予定されていた国際学会「人間安全保障工学に関するシンポジウム」が,バンコクで発生した水害の影響により開催が中止されたため、米国で行われた2011 IEEE International Conference on Systems, Man, Cybernetics に参加,研究発表を行い,発表した論文が学会誌に査読付き論文として掲載された.研究についてはおおむね計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度に実施したリスク評価の主観性を考慮した複数インフラの情報開示戦略に関する研究成果について,土木学会論文集(計画学)に投稿することを予定している.また,これまでの研究においては政府とテロリストが異なる政府像を想定している場合を仮定した上でモデル化を行っていたが,今年度は,政府とテロリストが,警戒政府/無警戒政府という政府像を共有している状況をモデル化し,我が国固有の情報開示政策のあり方についてモデル分析,政策的示唆を得ることを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、国内及び国際学会等で研究成果の発表を予定している.また,国内,国際ジャーナルへの投稿を予定しており,査読付き論文として研究成果を発表することを予定している.研究費の使用計画としては,これら学会発表,学会論文集の投稿料を想定している.また,政府とテロリストの戦略的関係性を分析を行うためのゲーミングシミュレーションを実施するため、関連書籍の購入を予定している.
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