2012 Fiscal Year Research-status Report
交流磁界を使用した高張力ボルトの緩み非破壊検査法の開発
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23710194
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 雄治 大分大学, 工学部, 准教授 (00373184)
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Keywords | 応力磁気効果 / 高張力ボルト / 非線形磁気特性 / 応力解析 / 電磁界解析 / 有限要素法 / 非破壊検査 / 電磁気センサ |
Research Abstract |
●本提案手法の現象解明と、検査に最適なセンサの形状や磁化条件の検討を実施した。 本研究では、電磁気現象を利用し、ドーナツ型の小型電磁気センサをボルト頭部に被せるだけでボルトの緩みを短時間で簡便に検査が可能となるセンサの開発を目的としている。 昨年までは、ボルトを締付ける際の圧縮応力下における電磁気特性変化の評価を実施したが、本年度は、実際の電磁気センサの最適な形状や磁化条件の検討を実施した。 本年度は、検査対象をM10半ねじ六角ボルト(SCM4350鋼材製)に定め、ボルトの足先部のみにねじ山が切ってあるものを使用した。ボルトを締付けるとボルト頭部は、ボルト軸方向に圧縮応力を受け、その方向の透磁率も低下する事が考えられる。そこで、M10半ねじ六角ボルトに合った電磁気センサを設計した。次にボルト頭部にその電磁気センサを配置して、ボルト頭部側面に交流磁界を印加させ、ボルトの締め付けによって変化する透磁率差を、検出コイル内に鎖交する磁束密度の変化として検出することで、ボルトの緩みと対応させる検討を、検証実験も含めて行った。なお検証実験では、ボルト軸部に歪みゲージを埋め込んだ検証実験用のM10半ねじ六角ボルトを作製し歪みゲージの値をボルトの軸力として検討を行った。その結果、最適な励磁条件は、周波数は20kHz程度で、励磁電流は0.5A程度が最も高感度でボルト軸力に対する反応が良い事が確かめられた。また、電磁気センサの形状は、有限要素法の応力・磁界連成解析により、最適な形状を算出した。その結果、ボルト頭部側面に磁気閉ループが形成される形状が最も良く、また、なるべくボルト頭部に密着している方が感度が高くなる傾向を示すことも確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度測定した、各応力別の初期磁化曲線を考慮した応力・電磁界連成解析プログラムの開発が行え、さらに、最適な形状設計も実施できた。さらに、検証実験も実施して実験と解析比較も行い、両者は良く一致する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の大型自動車の車輪等に使用されている高張力ボルトを検査対象として、実用的なセンサ形状や検査条件等の検討を詳細に行う。検証実験には民間企業の協力の内諾を得ているが、万が一、実機測定の協力が得られなかった場合は、申請者が所有する自家用車にて対応する。また、実現場で使用されているボルトは錆や腐食、削れによる性状変化があり、ボルトの締付け力以外の要因が検出信号に変化を与える場合が予想される。その場合、同環境下で正常に締付けられているボルトを測定した値を基準とし、その値との比較からボルトの緩みを定量的に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
様々な条件で使用されていた高張力ボルトの購入と、新しい電磁気センサの制作費に研究費を使用する予定としている。また、成果の発表にも使用する事としている。
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Research Products
(10 results)