2011 Fiscal Year Research-status Report
自動車への救命機能搭載を目指した救命予測アルゴリズムの開発
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23710195
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
富永 茂 日本大学, 理工学部, 助教 (30426241)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 交通事故 / 次世代交通システム / 救命救急 / 傷害予測 |
Research Abstract |
本研究は,自動車衝突事故において,車載衝撃加速度データをベースに,乗員のバイタルサイン,年齢情報を併用しながら,緊急度,重症度をリアルタイムで判断する救命予測アルゴリズムを開発することである.そのため,1)大規模外傷データ解析によるマクロ統計解析,2)ミクロ外傷・事故車両調査による救命を要する外傷形態の抽出,3)ドライブレコーダーへの実装を目指した実証実験から構成している.上記の研究内容について得られた成果を以下に示す.1)大規模外傷データ解析によるマクロ統計解析 日本外傷データバンクの約1,500件の交通外傷データを用いて,予測生存率Psとバイタルサイン(生理学的重症度RTS),年齢効果の関係をロジスティック回帰モデルを用いて構築した.その結果,胸部,腹部にAIS3+傷害があり,かつ年齢55歳以上では,予測生存率が有意に減少する結果を得た.このことは,胸腹部外傷と年齢55歳以上を検知する必要性を明らかにした.2)ミクロ外傷・事故車両調査による救命を要する外傷形態の抽出 上記の知見の実態をミクロに調べるために救命センターを拠点に事故実態調査を実施した.その結果,48例の事故調査から,,胸腹部は多発外傷となり易いことからPsが減少すること,特に胸腹部AIS4+傷害では,Psが30%まで低下することがわかった.3)ドライブレコーダーへの実装を目指した実証実験 外傷データおよび事故調査データより,予測生存率Psを予測することが重要であることを得たので,そのバイタルサイン変化の兆候を捉えるための車載式の簡易型呼吸計測装置を試作した.室内実験にて,過呼吸ならびに除呼吸の判別ができることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では,1)大規模外傷データ解析によるマクロ統計解析,2)ミクロ外傷・事故車両調査による救命を要する外傷形態の抽出に力点を置き,実施した.その結果,1)では,当初の目的であるマクロ統計による予測生存率Psのロジスティックモデルを構築することができた.2)では,事故調査から救命を要する傷害形態の定性的な傾向をつかむことができたが,統計的な解析までは実施していない.事故調査は,現在も継続中であり,データ整理を継続中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では,2)ミクロ外傷・事故車両調査による救命を要する外傷形態の抽出を引き続き実施し,衝突形態(衝突方向,バリア換算速度,安全装置作動状況)とバイタルサイン変化および年齢効果の定量的な関係を統計的に検証する予定である.さらに,3)ドライブレコーダーへの実装を目指した実証実験 において,今年度に試作した呼吸計測装置を,開発中のドライブレコーダーのプロトタイプに組み込み,動作確認を実施する.そして,車体衝撃加速度,衝撃方向の物理データとバイタルサイン等の生理学的データを併用し,緊急度・重症度を判定するアルゴリズムの構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3)ドライブレコーダーへの実装を目指した実証実験 において試作しているドライブレコーダーのプロトタイプの計測ユニットに充当する予定である.また,研究成果公表のために,国内外での学会発表旅費に充当する予定である.
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