2011 Fiscal Year Research-status Report
新学習指導要領における「生きる力」を育むための防災教育プログラム・教材の開発
Project/Area Number |
23710197
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木村 玲欧 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (00362301)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 防災教育 / 災害時の人間心理 / 避難行動 / 災害対応能力 / わがこと意識 / 生きる力 / 新学習指導要領 |
Research Abstract |
本研究は「21世紀前半に社会の中核を担う小中学生を対象に、学校教育における新学習指導要領「生きる力」の中において「わがこと意識」を醸成するような防災教育プログラム・教材の展開を目指す」ことを目標に、本年度は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の発災を受けて、巨大地震による被災者・災害対応従事者の被災実態・体験の収集を行い、過去の歴史地震との比較検討を通しながら、災害対応に必要な能力、学習によって向上させるべき能力、それらの能力のお学習目標化、学習目標をもとにしたプログラム化について体系化を行った。また防災教育を実践している先進地域における、小中学校教諭および児童・生徒の実態を調査し、効果的な防災教育策について考察を行った。具体的には、岩手県を中心とする東日本大震災の被災地において、資料収集および半構造化インタビュー手法を用いた体験談収集を行い、特に災害発災直後における人間心理および津波避難に関する行動について経験知を収集した。また過去の歴史災害(1896年明治三陸地震、1933年昭和三陸地震、1944年東南海地震、1946年南海地震)の被災地における被災者インタビュー、資料収集もあわせて行い、その結果との比較検討を通して知見・教訓および教材として取り上げるべき内容について整理を行った。また、防災教育を実践する先進地域(愛知県・奈良県など)の小中学校において、防災教育の実情を現地調査し、防災教育の現状と課題の抽出を行うとともに、小中学生の「わがこと意識」の醸成手法について検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年3月11日に発生した東日本大震災などの最新知見を収集しながら、適切な災害時対応を実現するために必要な能力を抽出し、過去の地震災害の知見とあわせて学習目標化、および教育プログラム・教材化の検討を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災における災害知見・教訓の収集・整理・体系化は、将来、南海トラフで発生する東海・東南海・南海地震などの巨大地震災害を見据えた21世紀前半のわが国の防災において、必要不可欠である。そこで、本年度も引き続き、東日本大震災における災害知見・教訓の収集を行いながら、過去の知見・教訓の収集・体系化を行う。それと同時に、各被災体験や社会調査、これまでの防災教育教材において「伝えるべき知見」「上げるべき能力」を特定した上で、学習課題の抽出と体系化を行う。また、抽出された学習課題をもとにして体系的な教育プログラム・教材の検討・作成もあわせて行う。この際には、新学習指導要領における防災関連記述がある教科との整合性を考慮する。これらの過程によって作成された教育プログラム・教材を、学校教育場面において実証的に検証し、その評価を行ったうえで、防災教育・プログラム・教材を開発する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、東日本大震災の発災を受け被災地における現地調査を行ったため、本来計画していた被災体験・教訓のテキスト・絵画化などの予算執行計画に変更を生じたために、143,162円の残金が生じることになった。次年度は、今年度の残金をあわせて、東日本大震災被災地域を含む災害被災地における調査、防災教育の先進地域への調査および実証的検証を行うための国内旅費とするとともに、これらの成果を諸外国の学会等で成果発表・議論し、手法や成果の国際比較・検証するための海外旅費の使用を計画している。また、収集した災害教訓に関する成果を言語化するためのテープ起こし費、教材を作成するための印刷費などを主要な研究費として計画している。
|
Research Products
(3 results)