2011 Fiscal Year Research-status Report
都市上空の組織的乱流構造が都市内のガス拡散に及ぼす影響
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23710199
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
道岡 武信 (財)電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (20371370)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 都市防災 / ガス拡散 / 乱流構造 / 風洞実験 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
都市防災に関連した都市内のガス拡散においては、建物・地形などから作られる気流の乱れのみがガス拡散に寄与すると言われてきたが、上空の組織的な乱流渦が都市内のガス拡散に非常に影響があることが次第に明らかになってきた。本研究では、この知見を発展させ、種々の建物形状で、かつ、壁面・地表面が日射により加熱された条件で、上空の組織的な乱流構造が都市内の気流・ガス拡散挙動に及ぼすメカニズムを解明することを目的とする。本年度は、以下の3項目を実施した。1、「中立成層条件下での上空の乱流構造がガス拡散に及ぼす影響」 種々の3次元キャニオン上の気流・拡散場を対象とした Large-eddy simulation(LES)を実施することにより、キャニオン内から上空へのガス輸送機構を検討した。その結果、種々の3次元キャニオン内からのガスの放出は、建物上面近傍に生成されるストリーク状の乱流構造が強く影響することが明らかになった。2、「気流・熱拡散場を対象としたLESの精度検証」 3次元の都市キャニオンにLESを適用するための事前検討として、集合住宅周辺の気流・熱拡散場を対象とした既存の風洞実験値と比較し、LESの再現精度を検討した。その結果、本LESで得られたキャニオン内の平均速度、速度変動の標準偏差、平均温度は風洞実験値とほぼ一致した。3、「風洞実験による都市内ガス拡散挙動の検討」 3次元の立方体が規則的に配列されている理想的な都市キャニオンを対象とし、風洞実験において、安定・中立・不安定温度成層の条件下の流れ場、温度場、濃度場の計測を行った。その結果、安定・中立・不安定の順番に、都市上空の乱流の組織構造は大きくなり、キャニオン内の濃度は減少することがわかった。このことは、温度成層条件下においても、上空乱流構造がキャニオン内からガス放出に影響を与えていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に風洞実験により、流れ場を PIV(粒子画像流速測定法)やLDV(レーザ・ドップラー流速計)、温度場を冷線温度計、濃度を高応答性の全炭化水素計で計測を行い、都市上空の詳細な乱流構造およびそれらが都市内のガス拡散に及ぼす影響を検討できるデータの取得をしており、当初の計画通りに進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた風洞実験の成果では、組織的な乱流の2次元構造を捉えることができるももの、3次元的に瞬間の乱流構造、温度・濃度分布を捉えることができない。そこで、平成24年度では詳細な数値シミュレーション(LES)を実行する。風洞実験では、種々の条件下での検討は費用・時間の観点から難しいため、精度が検証されたLESにより、熱的条件、建蔽率、建物高さを変化させた場合などを検討し、都市防災の考えた上の都市形状などを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、数値シミュレーションで使用する備品の購入費および本研究で得られた成果に関する学会および学術論文等で発表する旅費および印刷費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)