2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市上空の組織的乱流構造が都市内のガス拡散に及ぼす影響
Project/Area Number |
23710199
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Research Institution | 一般財団法人電力中央研究所 |
Principal Investigator |
道岡 武信 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (20371370)
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Keywords | 都市防災 / ガス拡散 / 乱流構造 / 風洞実験 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
都市防災に関連した都市内のガス拡散においては、建物・地形などから作られる気流の乱れのみがガス拡散に寄与すると言われてきたが、上空の組織的な乱流渦が都市内のガス拡散に非常に影響があることが次第に明らかになってきた。本研究では、この知見を発展させ、種々の建物形状で、かつ、壁面・地表面が加熱・冷却された条件で、上空の組織的な乱流構造が都市内の気流・ガス拡散挙動に及ぼすメカニズムを解明することを目的とする。 昨年度は、種々のキャニオン上の気流・拡散場を対象とした Large-eddy simulation(LES)を実施することにより、キャニオン内から上空へのガス輸送機構を検討した。その結果、種々のキャニオン内からのガスの放出は、建物上面近傍に生成されるストリーク状の乱流構造が強く影響することが明らかになった。また、理想的な都市キャニオンを対象とした風洞実験において、安定・不安定温度成層の条件下の流れ場の可視化により、中立温度成層と同様にキャニオン上空に組織的な乱流構造が生成されることを明らかにした。 本年度は、大気安定度が安定もしくは不安定の場合の都市上空の乱流構造の変化およびそれがガス拡散に及ぼす影響をラージ・エディ・シミュレーションより検討した。 その結果、大気安定度の違いにより、ブロック上面近傍での低速流体塊の構造に違いが見られ、特に、大気安定度が不安定の時には、組織的乱流構造が非常に大きくなることがわかった。また、大気安定度が安定および不安定時でも、中立温度成層時と同様に、キャニオン上空においてストリーク状の低速流体塊と、トレーサガスの濃度が高い領域とは良い一致を示した。つまり、大気安定度にかかわらず、この組織的な乱流構造が対象とするキャニオン上空に現れたときに、キャニオン内のガスが上空に放出されることが明らかになった。
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