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2012 Fiscal Year Research-status Report

前近代に発生した地震による建造物被害の基準作成に向けた基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 23710202
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

西山 昭仁  東京大学, 地震研究所, 学術支援専門職員 (50528924)

Keywords歴史地震
Research Abstract

本研究の目的は、前近代(明治時代以前)に発生した歴史地震を対象として、時代別・地域別の建造物の特性に基づいて被害状況を基準化し、それに依拠した確実度の高い震度推定の基準を確立することである。そのためには、歴史地震における震度推定を行う際に、建造物の被害状況だけではなく、その特性や履歴について可能な限り基準化の対象とし、様々な基準を組み合わせた相互分析に基づいて被害状況の評価を厳密に行う必要がある。このような多角的な分析を行うことによって、従来よりも客観的で妥当性の高い被害程度を導き出し、より確実度の高い推定震度を求めることができると考える。
そこで本研究では、前近代に幾度の被害地震に遭遇しながらも、当時の工法で造られた建造物が数多く現存している近畿地方のうちで、特に京都・奈良・大津といった都市域を対象として、歴史地震における被害状況と建造物の特性との関係を分析していく。
平成24年度は、昨年度に引き続き、史料・文献の調査を実施し、歴史地震による建造物の被害が記された新たな史料や、文化財修理報告書・建築史関連論文など関連資料の収集・分析を行った。また、既刊の地震史料集に所収されている史料群から信頼性の高いものを選び出し、そこから京都・奈良・大津などでの被害地震の記述を抽出して、被害状況の分析を実施した。
特に、976年に発生した京都・近江の地震における京都や大津での被害状況について、当時の建造物の実態に基づいて分析を行い、被害域の範囲を想定した。さらに、1596年に発生した伏見地震における京都での被害状況を事例として、史料の信憑性と建造物被害の分析に基づく被害評価方法の試案を作成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の方法として最初に、京都・奈良・大津といった都市域に被害をおよぼした被害地震に関して、既刊の地震史料集に所収されている史料から信頼性の高いものだけを選び出す必要がある。また、史料・文献の調査を実施して、新たな地震史料や文化財修理報告書・建築史関連論文といった、基本となる史・資料の収集および、データの整理・入力作業が不可欠である。
これらの基本的な作業のうち、最も史料の多い京都での調査・収集については順調に進捗しており、1830年の文政京都地震、1596年の伏見地震、976年の京都・近江の地震における京都や大津での被害状況については、史・資料の分析も進んでいる。また、史料の信憑性と建造物被害の分析を基準として、歴史地震における被害評価方法の基準作成も進捗しており、従来よりも確実度の高い推定震度の算出についても部分的に達成できている。

Strategy for Future Research Activity

今後は、平成24年度に引き続き、歴史地震による建造物の被害が記された新たな史料を調査・収集する。また、歴史地震による被災歴を有する京都・奈良・大津の城郭・寺社・民家などの建造物について、主に文化財修理報告書・建築史関連論文などを調査・収集する。さらに、史料上・文献上で被災した履歴のある建造物の場所について、歴史学の研究成果を用いて現在の位置を特定し、被害データの整理を行う。
収集した文献史料の翻刻作業や建造物の被災歴・修復歴の整理・入力作業については、アルバイトを雇用して作業の効率化を図り、歴史地震被害基準データベースの構築に向けてデータ作成と分析を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度は、京都・奈良・大津において歴史地震による被災歴を有する建造物について、城郭・寺社・民家などの事例を収集する。また、文献史料・文化財修理報告書・建築史関連論文などから、地震で被災した建造物の築年数や修復の有無といった履歴を調査・分析する予定である。
そのため、京都府立総合資料館など資料保存機関への出張調査を行い、未刊行の新たな地震関連史料、ならびに文化財修理報告書・建築史関連論文などの資料を収集する必要がある。
また、史・資料のデータ作成と分析に基づいて、歴史地震被害基準データベースの構築を実施する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Presentation (2 results) Book (2 results)

  • [Presentation] 天延四年(976)京都・近江の地震における被害実態

    • Author(s)
      西山昭仁
    • Organizer
      第29回歴史地震研究会横浜大会
    • Place of Presentation
      神奈川県横浜市中区日本大通3,横浜開港資料館
  • [Presentation] 歴史地震における被害評価方法の試案

    • Author(s)
      西山昭仁
    • Organizer
      日本地震学会2012年度秋季大会
    • Place of Presentation
      北海道函館市湯川町1丁目32-2,函館市民体育館
  • [Book] 江戸時代の地震(日本列島地震の2000年史,共著)2013

    • Author(s)
      西山昭仁
    • Total Pages
      142-150(207)
    • Publisher
      朝日新聞出版
  • [Book] 近世京都における地震災害(京都の歴史災害,共著)2012

    • Author(s)
      西山昭仁
    • Total Pages
      195-208(306)
    • Publisher
      思文閣出版

URL: 

Published: 2014-07-24  

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