2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23710204
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山崎 誠子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 地層処分研究開発部門, 博士研究員 (90555236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
断層の活動時期の推定において,上載地層法や地形学的な手法の適用が困難な断層では,断層岩そのものを年代測定する必要があるが,従来,母岩の再説物の混入等が原因で,正確な断層活動時期を検出することが困難であった。そのため,本研究では,断層運動に伴う熱水活動により晶出した自生の粘土鉱物を断層岩から高純度で分離する手法を確立するとともに,感度法によるカリウム-アルゴン年代測定の適用を試みる。 平成23年度は自生の粘土鉱物の高純度分離法の構築に向け,超低温サーキュレーターおよび高速遠心分離機を用いた分離システムを構築し,分離手順の最適化を実施した。また,豪州連邦産業科学研究機構のZwingmann博士の協力のもと,自生鉱物の純度評価のための電子顕微鏡を用いた鉱物学的解析を実施するとともに,年代値のキャリブレーションのための比較実験として同位体希釈法によるカリウム-アルゴン年代測定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自生の粘土鉱物の高純度分離法の構築,電子顕微鏡を用いた鉱物学的解析においては,粘土鉱物学の専門家である豪州豪州連邦産業科学研究機構のZwingmann博士の協力を得て,効率的に進めることが出来た。研究実施計画に挙げたX線回折法による鉱物学的解析は,分離した試料量が十分ではなかったことから,実施できなかったが,分離量を増やすことや測定に必要な量を低減させることで来年度に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた分離試料に対して,炎光光度計および希ガス質量分析計を用いて,感度法によるカリウム-アルゴン年代測定を実施する。アルゴン定量においては,細粒・微量の粘土鉱物からのガス抽出・精製条件を最適化する。豪州連邦産業科学研究機構における同位体希釈法による年代キャリブレーションを行い感度法による測定精度を確認するとともに,両測定法の適用範囲を評価する。また,破砕帯周辺の現岩の各種鉱物の年代測定を実施し,断層粘土の年代値の妥当性を検証するとともに,断層運動による発熱・熱輸送モデルを検討する。さらに地形学的・地質学的な見地も含めて,カリウム-アルゴン年代法による年代値が断層岩中の熱水活動時期として妥当であるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には,カリウム,アルゴン分析に係る試薬・実験器具等の消耗品の購入,および成果報告のための国内・国際学会参加費,論文投稿料を計上している。特にアルゴン分析に係る実験器具としては,高真空ラインで使用する特注品も発注予定である。
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