2012 Fiscal Year Research-status Report
小型船舶による救急患者搬送用防振架台の省エネルギ・省スペース化
Project/Area Number |
23710210
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (60342507)
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Keywords | 自然災害 / 被害対策 / 離島 / 小型船舶 / 救急活動 / 搬送 / 防振架台 |
Research Abstract |
省スペース・省エネルギ化を図るために、メカニカルスナッバの2つの応用方法を検討した。その1つがメカニカルスナッバにクラッチを取り入れた新機構である。ばね上加速度と、ストレッチャー・床面間相対加速度の位相差に着目して解析を行ったところ、メカニカルスナッバが防振架台上の搬送患者を加振する位相条件が存在することが分かった。そこで、メカニカルスナッバにクラッチを取り入れてフライホイールを分離できる新たなメカニズムを考案し、解析で得られた位相条件によるクラッチ切換制御則を提案した。その効果を分析した結果、固有振動数を低下させることができるものの、高周波数帯域での振動伝達率については劇的な改善を期待できないことが分かった。もう1つの解決策として、メカニカルスナッバと、アクチュエータ外力による能動制御を組み合わせたハイブリッド型防振架台を考案した。メカニカルスナッバを組み入れたハイブリッド型の場合、能動型のみで構成した場合よりも、アクチュエータ外力を26.4%程度に抑えられることが分かった。 上記の検討と並行して、省エネルギ効果の高い準能動型防振架台のスライディングモード制御による振動抑制アルゴリズムについても検討した。スライディングモード制御では一般に高いロバスト性を示す制御系が構築できることが知られており、防振架台に応用した場合、搬送患者個々の体重差を補償するようなメカニズムが不要となり省スペース化につながる可能性を秘めている。ただし、高速切換入力によるチャタリング現象が高周波数帯域の制御性能を劣化させる恐れがあることから、記述関数法によってチャタリングの影響を低減させる制御アルゴリズムを提案し、その有効性を数値計算によって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に完成予定であった省エネルギ・省スペース化を狙った防振架台の試作がやや遅れているものの、提案する防振架台の実用性を評価するために必要不可欠な垂直型加振機の設計・製作が完了したことから、現在までの達成度の区分を「研究はおおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に予定していた省エネルギ・省スペース化を狙った防振架台の設計・試作がやや遅れている。研究代表者が所属する長岡工業高等専門学校の技術協力会と情報交換を重ね、当初の計画通り平成25年度に予定している垂直型加振機による消費エネルギの評価実験に間に合うよう設計・試作のペースを向上させる。その進捗状況を逐次考慮して、当初の研究計画で予定していた消費エネルギ評価実験、実船実験をどの程度まで進めるのか検討を重ねる。 省エネルギ・省スペース化を実現するメカニズムについては、研究代表者も委員の一人として活動している「運動と振動の制御に関する人間中心設計」研究分科会委員(日本機械学会P-SCD375研究分科会)などに参加し、関連研究者と意見交換を行いながら更なる改善を進めるなどして、常に研究方針、研究手法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費は、防振架台の試作が遅れていることで発生した。繰り越した予算で、引き続き検討を進める省エネルギ・省スペース化を実現するメカニズムの試作を行う。当初から次年度に予定されていた予算は、提案する防振架台の実用性を評価する実験、情報収集を目的とした調査旅費、そして研究成果の発表旅費や投稿料として執行する。
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Research Products
(3 results)