2011 Fiscal Year Research-status Report
先天性ゲノムインプリント異常症に関与するアレル特異的メチル化領域の同定
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23710223
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋浦 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70451523)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / インプリント |
Research Abstract |
本研究では、生殖細胞系列のエピゲノム基盤として、網羅的にメチル化インプリント領域(DMR)を同定し、ヒト生殖補助医療(ART )がゲノムインプリンティング(GI)機構に与える影響について明らかにすることを目的とする。マウスADS 及びPDS 細胞を用いた網羅的DMR の解析から得られた候補領域より、未知のDMR を同定し、GI 遺伝子とGI 領域の分子機構について明らかにする。さらに、新規DMR 領域および既知DMR の構造と機能の保存性について、ヒト-マウス間で比較ゲノム解析を行う。また、ヒトART に用いる精子、ART 治療を受けた流産産物と出生児のメチル化インプリントについて、異常の頻度、程度、影響を受けやすいGI遺伝子について解析する。本年度は、ヒト網羅的インプリント領域(DMR)の解析を行なった。まず、マウスADS, PDS 細胞を樹立し、whole-genome Tiling array と抗メチル化シトシン抗体によるMeDIP-on-chip 法により、網羅的なDMR の検索を行い、およそ450の候補領域を単離した。その候補領域について、成熟過程にある精子、卵子、胚盤胞、胎児組織のDNA を用い、Bisulfite-PCR 法でDMR を確認し、新規DMRを含む、22領域を明らかにした。また、この領域内に含まれるDNA多型も明らかにした。また、精子サンプルは、150例以上収集し、22領域のメチル化の正確な解析をBisulphite-polymorphic PCR methylation assayを用いて行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA多型を含むメチル化解析を応用する事で、正確なメチル化インプリントの解析が可能となり、信頼のおける成果が得られる。この発見に関しては、特許出願予定である。また、不妊症男性精子の収集は、目標どおりに行なわれた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、症例数を増やし、ヒト男性精子のインプリント異常について、網羅的な解析を正確に行い、その異常の頻度、程度、影響を受けやすい領域を明らかにする。また、異常のパターン分類により、DNAメチル化異常の発症メカニズムについて、総合的に検討する。さらに、メチル化基質合成酵素遺伝子(MAT2A)とメチル化酵素遺伝子(DNMT1, DNMT3A, DNMT3L)の遺伝子変異について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.メチル化基質合成酵素遺伝子(MAT2A)とメチル化酵素遺伝子(DNMTs)の解析:(1)メチル化インプリントの異常を呈す精子あるいは患者血液DNAを用い、MAT2Aおよび DNMT1,3A,3L遺伝子の遺伝子変異について解析する。DNMT3Aは転写領域に設定した16対のプライマーセットを用い、PCR-SSCP法で電気泳動を行う。バンドに変異を認めた領域については、クローニングし、全塩基配列を決定する。同様にDNMT3Lは8対のプライマーセットを用いる。(2)プロモーター領域のメチル化の解析;精子検体のDNAを用いて、MAT2A, DNMT1およびDNMT3A,3L遺伝子のプロモーター領域のメチル化の解析をBS―PCR法で行う。(3)(1)、(2)で見つかった変異は遺伝子変異プラスミドをPCRで作成し、COS-7細胞にトランスフェクションする。メチル化の基質(S-アデノシル-L-メチオニン)を添加して、Luciferase assay法を用い、遺伝子発現の変化を定量化する。また、変異の配列特異性により、結合蛋白や関連因子を類推する。2.精子のメチル化インプリント異常のリスクと発症機序に関する検討:精子形態を細分類し、精子の形態学的特徴とゲノムインプリント異常の関連性について解析する。また、(食)生活習慣などの患者情報を基に、その影響について栄養素の量依存性について、特にメチル化基質である葉酸、ビタミンB6に注目し、評価する。評価には、多変量解析法を用いる。精子にみられるインプリント異常のパターン分類より、発症メカニズム(獲得、維持、消去)について明らかにする。その際、MAT2A, DNMT1、DNMT3A及びDNMT3L遺伝子の変異や機能解析の結果や精子の形態学的特徴を参考にする。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 助産雑誌2011
Author(s)
有馬隆博、樋浦仁、岡江寛明、佐藤晶子、宮内尚子
Total Pages
11-11
Publisher
医学書院
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[Book] 癌と化学療法2011
Author(s)
有馬隆博、樋浦仁、岡江寛明、宮内尚子、佐藤芙美
Total Pages
1745-1749
Publisher
癌と化学療法社
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[Book] 卵子学2011
Author(s)
有馬隆博、樋浦仁、岡江寛明、佐藤晶子、宮内尚子
Total Pages
122-131
Publisher
京都大学学術出版会