2012 Fiscal Year Research-status Report
多階層ネットワークに基づく遺伝子間の非線形相互作用のモデル化と代謝解析への応用
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23710233
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧川 一学 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (10374597)
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Keywords | 分子間ネットワーク / 機械学習 / モデル化 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本課題では、蓄積されつつある既知の分子間ネットワークの情報を用いて遺伝子間の非線形な相互作用をモデル化し、複数の遺伝子と表現型の複雑な関係性の理解を目指す。本年度は総説やブックチャプターを通してグラフマイニング技術や前年度までに得られた代謝系の遺伝子解析に関する結果の公開を行った。また、分子ネットワークを扱うためのデータマイニング・機械学習法について、主にグラフ構造をなすデータに関する統計推論に関して基礎研究を行った。創薬において標的に対するリード化合物探索時のスクリーニングなどで、主に部分構造や化学的特性の有無を表すフィンガープリントで特徴づけされた表現を用いた統計処理を行う。この際、トポロジーに関する部分の情報、つまり、部分グラフ構造の有無によって分子グラフを特徴づけする場合の一般的統計推論の検討を行った。このグラフマイニングに関する基礎理論は分子グラフの特徴づけにとどまらず、ネットワーク等のグラフ構造を扱うあらゆる場合で技術的に重要な役割を担うと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度の研究や事前調査から生じた技術的課題について、主に対象である分子ネットワークを情報科学的に取り扱うためのグラフマイニングおよびグラフデータを対象とした機械学習法の研究に力を入れた。これらで得られた技術的進展と知見をフィードバックすることで、遺伝子間の相互作用モデリングを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたデータマイニングや機械学習に関する技術的進展を元にして、微生物欠損株の遺伝子発現解析およびその他の遺伝子間の非線形作用モデルについて研究を行う予定である。特に遺伝子ネットワークの相互作用未知の部分の情報を、蓄積されている欠損株に関する各種の計測情報等から補いつつ、系全体の非線形な挙動について予測する機械学習モデルの構築、および、現状のデータでどれくらいの説明が可能なのかを検証できる枠組み作りを目指す。また、実際のデータを有効に解析する上では、機械学習・データマイニングに関する基礎技術の検討が必要であると考えられるため、引き続き基礎研究にも力を入れる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費について研究計画時に予定していた旅費計画についての変更により一部年次使途計画にも必要が生じた。また具体的な研究計画についても環境変化により変更が必要となり、予定していた備品について本年度購入を見送ることになった。これらの研究費については、次年度以降の請求研究費と併せて、旅費や備品購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)