2011 Fiscal Year Research-status Report
漢方処方からの腫瘍選択的アポトーシス誘導化合物の探索とその作用機序の解析
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23710249
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
當銘 一文 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80563981)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | がん / 生薬 / アポトーシス / TRAIL / DR5 |
Research Abstract |
本研究は,漢方処方等の天然素材について,腫瘍選択的アポトーシス誘導作用を指標としたスクリーニングを行い,それらから腫瘍細胞に選択的なアポトーシスを誘導することのできる低分子化合物を見出すことを目的とする.まず,漢方処方についてがん選択アポトーシス誘導作用を指標としたスクリーングを行ったところ,数種の処方に活性が認められた.また,スクリーニングの結果,顕著なデス受容体5の誘導作用を示すことが判明した,Derris indica, Piper chabaについて成分探索を行ったところ,活性化合物としてフラボノイド誘導体5種,アルカロイド類4種を単離し,その構造決定を行った.そのうち数種の化合物についてはTRAIL耐性AGS細胞においてTRAIL耐性克服作用をもつことが判明した.AGS細胞においてTRAIL耐性克服作用を示したArtocarpus communis, Artocarpus champedenメタノール抽出物からは,活性成分としてプレニルフラボノイド類18種を単離した.このうち,強力な活性を示したheterophyllinについてそのTRAIL耐性克服作用発現機構についてリアルタイムPCR,ウェスタンブロットにより解析を行った.その結果,本化合物は,デス受容体であるDR4,5の発現を誘導し,カスパーゼの活性化を誘導することで,AGS細胞においてアポトーシスを誘導することが判明した.本研究で最も強力なTRAIL耐性克服作用を示したArtonin Eについては,がん細胞であるAGS細胞においてはTRAIL耐性克服作用を示すものの,がん細胞由来ではないヒト胚性腎由来細胞293T細胞においては作用を示さなかったことから,本化合物はがん細胞に選択的に作用する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において目的としているする腫瘍細胞選択的なアポトーシスを誘導する可能性をもつ化合物の単離に成功している.予定しているスクリーニングについては,すべてを終了したわけではないが,本研究の第一の目的は活性化合物の単離,構造決定とその作用機構の解明であり,これまでに数種の活性化合物ができていることから,目的は順調に達成できているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるスクリーニングを進め,活性抽出物を選別するとともに,それらからの活性化合物の単離,活性評価を進める.また,すでに単離している活性化合物の活性評価,活性発現機構について解析を進め,腫瘍細胞選択的なアポトーシス誘導作用について検討を行う.予定していたスクリーニングが一部遅れており,今後は研究のスピードアップを図り,計画を全うすべく実験を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に活性成分を探索するための有機溶媒などの化学実験試薬,ガラス器具,並びに腫瘍選択的アポトーシス作用の機構解析を行うための細胞実験用試薬等の購入に充てる予定である.予定していたスクリーニングが一部遅れていることから,次年度に繰り越す研究費が発生している.今年度は予定しているスクリーニングを完了させるため,繰り越した研究費を執行する予定である.
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Research Products
(11 results)