2012 Fiscal Year Annual Research Report
カリクリンAに基づく選択的タンパク質脱リン酸化酵素阻害物質の創製
Project/Area Number |
23710250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇本 敏幸 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70363900)
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Keywords | Calyculin A / タンパク質脱リン酸化酵素 / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
タンパク質脱リン酸化酵素の代表的なサブタイプの中でPP1に対して高選択的な阻害剤は存在しない。PP2Aに関しては選択的な阻害剤として放線菌より見出されたfostriecinが知られているのみである。この化合物は強力な抗腫瘍活性を示すことから臨床試験に供された。またPP2B(カルシニューリン)はタクロリムスやシクロスポリンなどの免疫抑制剤の標的分子として名高いが、PP2Bを直接的に阻害する物質も数少ない。そこで本研究ではこれら3つのサブタイプに対して直接的な阻害活性を示すcalyculin Aをプラットフォームに用いてケミカルライブラリーを構築し、選択的阻害物質を見出すことを目指した。選択的阻害物質が得られれば、生化学試薬として利用価値が高いばかりか、抗がん剤や免疫抑制剤開発へのリード化合物としても期待できる。 Calyculin Aの構造活性相関の解析により、tetraene構造、1,3-diol構造、リン酸エステル基が酵素阻害活性に必須であることが分かっている。また、tetraene構造は酵素阻害におけるサブタイプ選択性にも関与している可能性がが示唆されている。そこで、calyculin Aの1,3-diol構造とリン酸基を含む部位を合成し、tetraene構造をクリックケミストリーを用いて種々改変する事で化合物ライブラリーの構築を行う。基本骨格を有する化合物の合成経路を確立し、ライブラリー構築へ向けた手法の確立に成功した。 またCalyculin Aの構造を改変し、酵素への結合親和性を維持したまま、蛍光官能基の導入を試みた。本研究で合成したTokyoGreen-calyculin Aによって実際に細胞内局在の可視化にも成功した。天然物の極めて特異的な生物活性を利用して、PP1およびPP2Aに対する初めての低分子蛍光プローブを創製した。
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Research Products
(7 results)