2012 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞関連遺伝子を標的とするインドールアルカロイド類の作用機構と再生医療への応用
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23710261
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
池田 玲子 東京理科大学, 理工学部, 助教 (60516441)
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Keywords | MAT1A / Ellipticine |
Research Abstract |
平成24年4月1日より平成25年5/16日まで産休及び育児休暇を取得した。 重篤な肝疾患に対する治療としては、肝臓移植や肝細胞移植があるが、ドナー不足が深刻な問題となっている。近年、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)も樹立されたことから、これら幹細胞を用いた再生医療が期待されている。本研究では、Ellipticine及びその誘導体が肝発生に伴い発現し肝炎及び肝がんにおいてはその発現が消失するMethionine adenosyltransferase 1A(MAT1A)遺伝子発現を誘導することを見出した。 平成24年度は、Ellipticine誘導体により引き起こされたMAT1A遺伝子発現メカニズムと正常肝発生におけるその遺伝子発現メカニズムとの相同性を検討した。 MAT1A遺伝子発現は、Ellipticineにより誘導されることがRT-PCRにより示された。続いて、ルシフェラーゼアッセイによりMAT1A遺伝子プロモーター活性を測定したところ、Ellipticineによりプロモーター活性は上昇することが示された。 さらに、Bisulfite-Sequencing法を用いてMAT1A遺伝子プロモーター中のCpGのメチル化状態を解析した。マウス肝がん細胞Hepa-1細胞にEllipticine(-)を添加したところ、DNAメチル化レベルは、処理なし(81%)、3時間後(77%)、6時間後(73%)、12時間後(66%)、24時間後(73%)と低メチル化へ移行していることが明らかとなった。この結果は、MAT1A遺伝子発現レベルと相関性が得られている。また、プロモーター領域のDNAメチル化によりその発現が制御されていることが知られているoct4遺伝子は、遺伝子発現及びプロモーター領域のDNAメチル化レベル共に変化がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年4月1日より平成25年5月16日まで産休及び育児休暇を取得していたため、研究を中断さぜるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Ellipticine誘導体により引き起こされたMAT1A遺伝子発現メカニズムと正常肝発生におけるその遺伝子発現メカニズムとの相同性を詳細に検討するために、C/EBPとMAT1A プロモーター領域の結合を、Chip-assay を用いて観察する。 さらに、個体マウスからコラゲナーゼ灌流法により肝実質細胞 (Hepatocyte)を単離し、培養することによりHepatocyteの機能・形成維持へのEllipticineの有効性を確認する。また、内胚葉形成におけるEllipticineの有効性を明らかにするために、マウスES細胞の培養状況を整える。整い次第、Leukemia inhibitory factor (LIF)存在下で未分化培養を行ったES細胞を、LIF非存在下、Ellipticine存在下でハンギングドロップ法によりEBを形成させる。形成させたEBからmRNA及びタンパク質を抽出し、内胚葉系の細胞への分化誘導効率を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA メチル化及びヒストンアセチル化解析で用いる試薬、抗体類、シーケンス解析費を研究費の一部に用いる。また、ES 細胞から肝細胞様細胞への分化誘導時及び確認時で用いる試薬及び抗体類の購入費に研究費の一部を使用する。 ES 細胞の未分化維持及び分化誘導には初期費用や維持費をかなり必要とするためEllipticineを用いる実験費用の多くはES 細胞の未分化維持及び分化誘導時の試薬類の購入に用いる。また、分化誘導した肝細胞様細胞のマウス肝臓への移植時に用いる実験動物購入費用及び試薬類の購入費にも研究費の一部を使用する。
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