2011 Fiscal Year Research-status Report
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23710266
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 優 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (10583750)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 有機化学 / 分子プローブ / 生物発光 |
Research Abstract |
近年、生体機能を解明する新手法として、緑色蛍光タンパク質(GFP)に代表されるように、生体現象を可視化するイメージング技術が医学・生物学分野で重要な役割を果たすようになってきた。一方、生きた動物においても望みの分子をイメージングできる手法(in vivo分子イメージング)は未だ発展途上であり、なかでも、生体組織を透過できる近赤外領域(波長 700 nm以上)での蛍光や発光イメージングに利用可能な分子プローブ開発が精力的に行われている。 これに対して、実用的な近赤外生物発光系を新たに開発できれば、革新的な分析手法になりうるin vivoイメージング法が提供できると考え、代表的な生物発光基質であるセレンテラジン(CTZ)に着目した。なかでも長波長発光することが知られているv-CTZの構造を改変した類縁体を設計・合成し、より優れた近赤外生物発光系を開発することで、実用的なin vivoイメージング法が創出できると考え、まず、v-CTZの合成法を新たに開発することに成功した。具体的には、アミノピラジンから出発し、種々のクロスカップリング反応を駆使し、中間体へと導くことができた。すなわち、まず、根岸カップリングで3位選択的に置換基を導入した後、鈴木-宮浦カップリングで5位選択的に置換基を導入、さらに、Stilleカップリングで6位にビニル基を導入することで、鍵中間体を得ることができた。次に、Wittig反応でメチレン化した後、閉環メタセシスでv-CTZの主骨格を構築した。最後に、脱保護の後、従来法であるケトアセタールとの縮合環化反応を行うことで、v-CTZを合成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
v-CTZが有用な化合物であるにも関わらず、合成法の詳細は報告されていなかったが、これに対して、今年度、v-CTZの合成法を新たに開発することに成功したため、概ね順調に研究を進展させられていると考えている。開発した合成経路は、多様な類縁体の合成にも適用可能な経路であり、種々の類縁体合成を行ってその発光特性を精査した後、ヘテロ原子を含むCTZ類縁体合成に着手する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、v-CTZの合成法を新たに開発することに成功した。開発した合成経路は、多様な類縁体の合成にも適用可能な経路であり、種々の類縁体合成を行ってその発光特性を精査した後、ヘテロ原子を含むCTZ類縁体合成に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヘテロ原子架橋型の新規CTZ類縁体の合成を目指し、必要な試薬などの物品費、研究発表や情報収集のための旅費などに主に利用する。
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