2013 Fiscal Year Annual Research Report
阻害剤・タンパク質複合体の分子科学計算による定量的構造活性相関手法の構築
Project/Area Number |
23710272
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 達貞 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80527557)
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Keywords | 金属タンパク質 / 定量的構造活性相関 / 分子間相互作用 / 分子軌道法 / 理論・計算化学 |
Research Abstract |
タンパク質と阻害剤の複合体形成に伴う新規の自由エネルギーの評価方法である自由エネルギーの加成性と線形性に基づくLinear Expression by Representative Energy terms (LERE)解析とその定量的構造活性相関 (Quantitative Structure-Activity Relationship; QSAR)への応用 (LERE-QSAR)解析を金属含有タンパク質とその一連の阻害剤との複合体系へ適用した。LERE-QSAR解析の精密化として、タンパク質と阻害剤との複合体形成に伴う自由エネルギー変化の分子科学計算に基づく高精度予測を目指し、以下の二つの新しい評価法の導入を試みた。 (1) 結合相互作用エネルギーの評価にHartree-Fock (HF)法のエネルギーに古典的な分散力エネルギー補正を行った新規HF-Dtq法を考案した。 (2) 水和自由エネルギー変化の評価に量子/古典化学的連続体モデルのハイブリット法を導入した。 上記(1), (2)の有用性は、生体高分子・薬物分子との相互作用を想定した多様なモデル系を用いて検証を行い、化学的精度と計算コストの両面から実用的な予測が可能であることを確認した。これらの改良型LERE-QSAR解析を亜鉛原子を活性部位に含有する炭酸脱水酵素、マトリックスメタロプロテアーゼ-9, -13、TNF-α変換酵素、ならびにヘム鉄を含有するチトクロームP450とこれらタ金属タンパク質に対する一連の阻害剤との複合体系へ適用した。その結果、それぞれの系において、複合体形成に伴う実測の自由エネルギー変化を高精度に再現するとともに、各金属タンパク質に対する阻害剤の作用メカニズムの類似・相違点を物理化学的にも妥当な解釈に基づき原子・電子レベルで定量的に説明し、金属原子の持つ役割を系統的に理解することができた。
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Research Products
(10 results)