2013 Fiscal Year Research-status Report
相互作用解析による創薬スクリーニングのための微量試料用差検出NMRプローブの開発
Project/Area Number |
23710273
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 雅人 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 上級研究員 (60392015)
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Keywords | 磁化率 / 磁場均一度 / 差スペクトル |
Research Abstract |
本研究においては二つのマイクロコイルを用いて差スペクトルをとりより微小試料量でより高感度にNMRスペクトルの変化を検出することを目指している。良好な差スペクトルを得るためには、静磁場の均一度が必要である。これは、NMRスペクトルの線幅を補足してより高分解能にすることと、二つのマイクロコイルNMRから得られる信号がずれないようにする目的がある。特に2番目の点は、二つのマイクロコイルを使う差スペクトル用の装置特有のものである。二つのマイクロコイルに同じ試料を入れた場合、打ち消し合ってNMR信号がなくなる必要がある。そのためには、二つのマイクロコイルは完全に同じ磁場強度中に存在していなければならない。 本研究において静磁場の均一度と絶対値を調整する手法としては、試料空間周辺の素材の磁化率を調整する手法がある。室温シムは試料空間が小さすぎて磁場の均一度を改善するには効果がないことがわかっている。そこで、もっとも測定によく使う水素を含まない磁化率調整材料の探索を行った。その結果、ある程度までは調整可能であったが、試料を移送するチューブの磁化率なども影響していることがわかった。このためさらなる線形向上のためには移送用チューブの素材などもさらに検討する必要があり場合のよっては磁化率を調整した移送用チューブの製作が必要であることが分かった。また磁化率調整材料の配置などもより精密に行う必要がある。 さらに、差スペクトルを得られる構成のプローブを製作し実験したところ、二つのマイクロコイル位置における静磁場の強度がわずかに異なってしまいうまく打ち消し合わせることができなかった。これを調整するために室温シムを使うことが可能であるが、そのために二つのコイルの距離を離す必要があることがわかった。また、フロー型導入用のチューブが動いてしまい結果が安定しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
磁化率調整材料とチューブの開発の難易度が高く時間がかかっている。また、プローブを構成する精密な小型部品の開発に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロコイル位置や磁化率調整材料などの配置を精密に制御できるプローブを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NMRスペクトルの分解能や差スペクトルの調整に時間がかかったため、その先で必要な開発を行うことができなかった。 プローブ開発を効率よく行うために精密な部品製作を行う機械を導入してプローブの磁化率調整の精度を上げるとともに、機械的に完成度の高いプローブを製作する。
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