2013 Fiscal Year Annual Research Report
梯子状ポリエーテル類のエーテル酸素原子が生物活性に及ぼす影響の解明
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23710274
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥飼 浩平 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20456990)
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Keywords | バイオプローブ / 梯子状ポリエーテル / 海産毒 / 活性発現機構 |
Research Abstract |
本研究は渦鞭毛藻が生産し梯子状ポリエーテルと総称される海洋天然毒が,生体内でどのような働きをするのかを明らかにすることを目的に行われた.梯子状ポリエーテルの生物活性発現には,互い違いに配置されたエーテル酸素原子が,生体膜上に存在するタンパク質と水素結合を形成し相互作用することが重要であると考えられているため,本研究ではその酸素原子の役割を知るべく,酸素を炭素に置換したアナログ分子を化学的に合成することで生物活性にどのような影響を与えるかを確かめることにした. 具体的には天然物ブレベナールの全合成と炭素アナログ合成を行うこととしたが,まず,梯子状ポリエーテル合成に携わる世界中の研究者が未解決のまま残してきた,ビルディングブロック(有機合成においてブロックを組み立てる際の各パーツのような化合物)大量合成法の確立を行う必要があると考えた.すなわち梯子状ポリエーテル類の合成は時として100工程を超える多段階を要するため,ビルディングブロックを大量かつ簡便に合成出来なければ最終化合物までたどり着くのが困難である. 我々は梯子状ポリエーテルの合成において最も使用頻度の高い,2,6位にメチル基を有するテトラヒドロピラン環の合成法を再検討した.すなわち煩雑な操作を要する反応や悪臭を放つ反応を避け,高価な薬品はより安価な薬品で代用し,さらには従来一つ一つ順に行っていた操作を一度に行う(ワンポット合成),精製回数を可能な限り減らす等の改良を行った.その結果,従来9工程,8回のクロマトグラフィー精製を要していた化合物を,7工程,3回の精製で,また従来11工程,8回の精製を要していた化合物を,7工程,3回の精製で,数十グラムスケールで合成できることを示した.本研究により梯子状ポリエーテル類の合成研究は飛躍的に加速することが期待でき,今後の合成研究の地盤を固めることができたと考えている.
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Research Products
(3 results)