2012 Fiscal Year Research-status Report
有機合成では困難なサクシニル転移を行う酵素の反応機構の解明
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23710277
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
奥村 英夫 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (90377903)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 酵素反応 / X線結晶構造解析 / 基質認識 |
Research Abstract |
放線菌の二次代謝化合物生合成遺伝子から発見された三級水酸基をエステル化する新規酵素は、有機合成では極めて困難な反応を生理的環境下で行う。本研究は本新規酵素による基質認識、および反応機構を立体構造解析によって解明することを目的としている。 本年度は、まず三級水酸基のエステル化反応を行う新規酵素の結晶化条件の探索を行った。本酵素を作りだす放線菌のゲノム解析、反応に関する生化学的研究の結果、本エステル化反応には二つの新規酵素が関与していることが明らかとなっているが、まだ結晶化には成功していなかった。前年度の生化学実験および結晶化実験の結果をふまえ、それぞれの酵素について大腸菌を用いた組み換え発現実験、精製実験を行った結果、両酵素の高純度精製試料が得られた。精製サンプルを用いてそれぞれの結晶化条件の探索を行ったが、両酵素とも結晶を得るまでは至らなかった。 一方、本反応についてさらに生化学的研究が進んだ結果、発現精製、結晶化のために施された当初のコンストラクトでは、本酵素にてエステル化反応を行うと、反応効率が大幅に低下することが明らかとなった。そこで二つの酵素ともコンストラクトを設計し直し、大腸菌発現実験、精製実験を行い、高純度精製試料を得た。また、反応の際、多量体構造をとりながら酵素反応を行うことも生化学実験のデータから示唆された。本サンプルを用いて結晶化スクリーニングを実行し、析出物を得た。また酵素反応の際、多量体構造をとりながら反応を行うことも生化学実験のデータから示唆されており、精製試料について複合体の安定化条件の検討、さらに良質な結晶を得る条件の検索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は平成23年4月中旬に独立行政法人理化学研究所から財団法人高輝度光科学研究センターへと所属を変更した。本研究は大腸菌の遺伝子組み換え実験を含んでいるが、高輝度光科学研究センターでは施設内における遺伝子組み換え実験の申請・審査を3月と8月の年2回のみ実施しており、実際に遺伝子組み換え実験開始の許可を得られたのは10月であった。その結果実験の開始が半年遅れ、結果当初の予定より研究の実施がずれ込んでいる。また本研究は大型放射光施設SPring-8を利用したX線回折実験を含んでいる。昨今の電気事情により、節電を目的としたSPring-8の運転期間の短縮が行われ、その結果X線を用いた実験の時間を十分に確保することができなかった。その結果実験の開始が遅れてしまったことは、研究の進捗が遅れている理由の一つとしてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶構造解析が遅れているため、次年度はまず早急に酵素の結晶構造解析を完成させる。各酵素の結晶化ならびに複合体結晶化をすすめ、大型放射光施設SPring-8にてX線回折実験を行い、構造解析を行う。さらに、基質との複合体結晶構造解析も実施し、得られた構造を元にして、基質認識部位改変モデリングとドッキングシミュレーションを計画している。ここから得られた情報を元に、新規エステル化酵素の基質認識部位の改変を行い、他の基質に対する基質認識特異性、ならびにエステル化反応機能の獲得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に行う予定であった遺伝子組み換え実験及び酵素アッセイ実験について、実験の進行が遅れから消耗品の購入を行わなかったため、平成25年度への繰り越し金が発生した。平成25年度は本年度に引き続き遺伝子組換え実験、タンパク質精製、タンパク質結晶化に加え、酵素アッセイ実験、を計画しているが、前年度からの繰り越しをそれぞれ、遺伝子実験試薬、生化学実験試薬等の消耗品の購入に使用する。なお、シミュレーショソフト、コンピュータについてはすでに所属グループで所有しているものを利用する。また、成果の国内学会での発表を予定しており、本件の旅費に予算を充てる予定である。
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