2013 Fiscal Year Research-status Report
照葉樹林帯における外来植物の分布拡大と地域に適した植物資源保全に関する研究
Project/Area Number |
23710287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (70444487)
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Keywords | 生物学的侵入 / 外来植物 / 植物資源保全 / 照葉樹林 / 国際研究者交流 / ラオス:インド |
Research Abstract |
東南アジア大陸部では、メコンハイウェイと呼ばれる道路交通網が整備され、中国とASEAN諸国間の人、物、資金の移動が活発化し、植生や土地利用が急速に変容しつつある。そのため2012年度に引き続き、ラオスにおける外来植物の広域分布、在来植物資源の利用と管理、市場での植物資源の取引の実態を、カウンターパートであるラオス国立大学林学部教員らとともに調査した。 2013年8月2日から8月11日まで、ラオス南部サラワン県とチャンパサック県において、水田に分布する樹木の利用と管理について調査した。 2013年9月25日から10月14日まで、ラオス北部ルアンパバン県の村落において、焼畑休閑林の植生とバイオマス回復を調査した。 2014年3月21日から3月29日まで、ラオス北部シエンクワン県とフアパン県において、地元市場で販売される植物資源のインベントリー作成と、市場販売人への聞き取り調査を行った。 これまでの研究成果は、京都大学自然地理研究会第1回セミナー(2013年4月15日、京都大学)、第23回日本熱帯生態学会年次大会(2013年6月16日、九州大学)、International Workshop on Sustainable Forest Management and Indigenous Uses of Forest Resources in Myanmar(2014年3月1日、京都大学)、第125回日本森林学会大会(2014年3月29日、埼玉県大宮ソニックシティ)などで発表された。 これらの成果は、これまで十分に報告されてこなかった照葉樹林帯とその周辺地域の植物資源利用の実態を明らかにし、その管理をはかるための基礎情報として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラオスにおいて、北部のフアパン県、シエンクワン県、ルアンパバン県、中部のビエンチャン県、ボリカムサイ県、サワンナケート県、南部のサワワン県、チャンパサック県で現地調査を行い、外来植物の分布と在来植物資源の利用に関する情報を収集することができた。これまでの研究結果のうち、ラオス北部フアパン県の水田野草利用に関する論文が、Economic Botany誌に掲載された。またラオス北部ルアンパバン県における焼畑休閑林植生のバイオマス回復について、共著者として投稿論文を準備中である。 調査を予定していたインド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州とナガランド州は、政情などを考慮して現地調査を見送った。その代わり、2013年8月25日から9月19日まで、別途予算により南米ボリビアで現地調査を行った。その結果、南米高地におけるヨーロッパ原産の外来植物の分布状況や、アジアで分布拡大している南米原産植物の現地での生育に関する情報を収集することができた。 以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、本研究課題の最終年として、現地調査と論文執筆を予定している。 現地調査では、ラオス中部、南部、北部で引き続き、外来植物の広域分布と、在来植物資源の利用と管理に関する情報収集を行う。インド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州とナガランド州の訪問は困難であるため、その代わりに別予算により、ミャンマーを訪問する予定である。ミャンマーにおける外来植物の分布情報は、これまで調査を行ったラオス・タイとインド北東部の調査結果をつなぐものであり、本研究課題にとって重要である。 そして、これまでの調査結果のまとめとして、ラオス北部ルアンパバン県における焼畑休閑林植生のバイオマス回復についてと、ラオス北部シエンクワン県とフアパン県の市場における植物資源取引に関する投稿論文を執筆する。また、日本熱帯生態学会年次大会をはじめ、各種の学会や研究会で、研究成果を随時発表する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Wild edible herbs in paddy fields and their sale in a mixture in Houaphan Province, the Lao People's Democratic Republic2013
Author(s)
Kosaka, Y., Xayvongsa, L., Vilayphone, A., Chanthavong, H., Takeda, S. and Kato, M.
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Journal Title
Economic Botany
Volume: 67
Pages: 335-349
DOI
Peer Reviewed
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