2011 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
23710289
|
|---|
| Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
|---|
Principal Investigator |
任 哲 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (90434381)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
| Keywords | 国際情報交流 / 中国研究 / 政治学 |
|---|
| Research Abstract |
平成23年度では本研究と密接な関係がある90年代以後の中国の中央・地方論についての先行研究の整理を行い、その作業は基本的に完了した。中央・地方関係における財政問題についての統計資料収集と分析もほぼ完成している。平成24年度では官僚制度と関連する研究を中心に整理する。 中央レベルにおける土地問題と不動産業への政策については2008年度まで整理できた。2008年以後の部分については平成24年度中に整理する予定である。また、地方レベルにおける土地と不動産関連政策の整理は広東省と浙江省を中心に2008年度まで整理し、その後の変化については平成24年度に行う。政策を整理・分析する作業を通じて、94年以後の土地と不動産業に対する省政府と基層政府がどのような態度を取っていたかを把握することができた。 政策実行の全体像を把握するために、8月と1月に北京と広東で聞き取り調査を行った。8月に行う第1回目の調査では研究者と新聞記者との意見交換を中心に行い、1月に行った第2回目の調査では主に政府役人へのインタビューを中心に行った。 研究成果の発信については、2011年6月に行われたアメリカアジア学会日本部会の年度大会と2011年11月京都大学で行われた日豪学術交流研究大会で英語で報告を行い、有益な意見交換ができた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の計画通り進展している。現地調査は主に北京と広東省で行われたが、平成24年度では浙江省を入れた3つの地域で行う。研究成果の発信については日本語と英語の発信にとどまっているが、平成24年度では中国語で発信することを念頭に入れながら研究を進める。
|
| Strategy for Future Research Activity |
まずは、土地関連政策が中央政府から末端政府に届くまでのプロセスを考察する。ここでは、「中央政府が公布した政策を省政府はどのように下級政府に伝えたのか？」、「基層政府は上からの政策をどのプロセスを経て、どのタイミングで公布したのか？ 」、「基層政府間の政策伝達メカニズムはどのようなものであるのか？」といった問題意識を抱えながら中国の政策伝達プロセスについて考察する。 次に、政策実行過程に影響を与える要素について考察する。中央・省レベルの政策実行過程については不透明な点が多いうえ、インタビュー調査が困難であることから、ここでは主に基層政府に焦点を当てて分析を行う。具体的には「権力内部のどの要素が政府による政策実行過程に影響を与えているのか？」、「地方国有企業の存在が政策実行過程にどのような影響を与えるのか？」、「政策実行過程に影響を与える外部要素はあるのか？」といった問題意識を抱えながら政策実行過程について考察する。 以上のような問題を分析したうえ、最終的には「なぜ土地政策が徹底的に実行されないのか？」という問いを解明するため、官僚制度・地方利益・個人利益を結び付け、中央・省・基層の三層構造の中で生きる基層官僚の行動パターンを描きだすことに挑戦する。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属機関の経費使用規定上、書籍以外の物品購入ができないことと、2万円以上の書籍購入に関しては図書館に依頼することになっているので、平成23年度では3万円程度の余剰が発生した。この部分については平成24年度の書籍購入費用に充てたい。 平成24年度の研究費については当初の計画通りに、現地調査・学会出張・資料購読を中心に使う予定である。平成23年度より現地調査の期間が1週間ほど長引くことが予想されるので、研究費に余剰が発生することはないと思われる。
|
Research Products
(2 results)
