2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23710289
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
任 哲 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (90434381)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 中国 / 中央地方関係 / 基層政府 / 財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代中国で社会問題となっている「立ち退き」(Demolition)と「土地徴収」(Land Expropriation)を事例に取り上げ、中央・地方関係のアプローチから問題発生のメカニズムを解明し、現代中国研究における「中央・地方関係」を再検討するものである。従来の「中央・地方関係」研究では「中央政府vs.省政府」の二層構造が基本的な分析方法であったが、本研究は基層政府に注目することで、二層構造をさらに発展させ「中央政府・省政府・基層政府」の三層構造を主張する。そして、三層構造の中でTop, Middle, Street レベルの官僚の行動パターンを明らかにすることで、複合的な中央・地方関係図を提示するものである。 初年度から2年目の研究は政府間の財政関係に注目し、土地および不動産業から財政収入がどの行政レベルに集中しているのかを観察した。現地での聞き取り調査および各種の統計データを綿密に分析した結果、土地および不動産業からの財政収入は基層政府に、その中でも県レベルに集中していることが解明できた。この部分の研究成果は『中国の土地政治』(単著、勁草書房、2012年)で詳細に述べている。 政府間の財政関係を踏まえた上で、3年目から最終年度では官僚の行動パターンに注目した。上級政府から与えられたさまざまなな任務を、middle, Streetレベルの官僚はどのように認識し、順位をつけ、行動に移すのかを初歩的に解明することができた。この部分の研究成果は『中国の都市化』(編著、アジア経済研究所、2015年)で詳細に述べている。 基層政府の官僚の行動パターンに関する更なる研究は、次の研究課題「中国の基層における政治力学に関する実証研究」で引き続き行う計画である。
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Research Products
(4 results)