2011 Fiscal Year Research-status Report
中央アジアにおける国際関係の形成とその課題:水・領土問題にみる地域統合の展望
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23710291
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 中央アジアの国際関係 / 水問題 / 領土問題 / 紛争解決 |
Research Abstract |
中央アジア諸国はソ連から独立して19年が経っており、独立から現在までの間に、これらの国々は様々な問題に直面し、その解決を試みてきた。1990年代の共産主義の破綻とソ連崩壊は中央アジア諸国に多くの問題を残したが、その中でも特に、諸国間の関係とその他の国々との関係、国家の安全、人間の安全保障、経済システム、政治体制や教育制度といった様々な分野における課題が挙げられる。9・11事件後には、アフガニスタンにおける対テロ作戦が始まり、中央アジア諸国は再び世界的に注目されるようになった。現在、ロシア、中国に挟まれた中央アジア諸国は、複雑に変化する国際環境の下で、国際社会におけるそれぞれの地位の確立に向けて努力しており、安定かつ建設的な相互関係を構築しようとしている。本研究は、これまで総合的に取り上げられてこなかった旧ソ連中央アジア地域の国際関係に着目した。地理的には、旧ソ連中央アジア地域に焦点をあて、この地域の各国が独立後に地域外の国々(特にロシア、中国、米国、韓国と日本)とどのような関係を構築してきたかを分析した。そして、中央アジア内における諸国間関係を取り上げ、その特徴や各国の外交政策の方向性、外交政策と国内政治のつながりなどを検討した。さらに、現状と国際関係の理論を擦り合わせ、この地域は今後どのような発展の道を歩むのかについて、現時点で確認しうる方向性を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響で本研究の始まりが遅れたが、計画に述べられた行事が実施され、1年目の活動が計画通り達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一回現地調査結果の分析を経て、第二回の調査準備を行う。カザフスタン国立大学やウズベキスタンの世界経済外交大学など、現地の研究機関と共同で準備を実施し、第二回現地調査を行う。前回の現地調査協力者などの関係者とデータを再分析するとともに、現地の研究者との意見交換を行い、研究の強化をはかる。具体的には、4月-6月を調査準備に、7月-9月を調査実施にあてる。第二回現地調査の目的は、ソ連時代、独立後の各時期において国境再画定や水問題の歴史的・社会的な背景が地域内の安定化に寄与した具体例を収集し、中央アジア諸国の関係の安定性という観点から地域統合や国家間協力の仕組みの利点と弱点を明らかにすることである。調査地域は、24年度からの継続性に鑑み、ウズベキスタンのフェルガナ盆地、サマルカンド州、ブハラ州、カラカルパク共和国およびアフガニスタンに接するテルメズ市、そしてカザフスタンのアルマティとアスタナを予定しているが、必要に応じて数ヶ所が追加される可能性もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査のための旅費に加えて(交通費、滞在費、調査費)、共同研究者間で調査結果を検討するとともに(国内旅費)、アルマティのカザフスタン国立大学とウズベキスタンの世界経済外交大学で研究会報告会を開催し、結果を公表する(補助費、会議費)。昨年度の震災の影響で文献(図書費)と国内の研究機関における資料収集(国内旅費、図書費)などを利用するできなかった時期があり、これらを次年度の予算として使用する。
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